夜の探検 ③
今回はミカエルたちのほうを書きました。次回はミキです。
ミカエルとウリエルは子供たちを庇いながら戦闘をしていた。
廊下に湧き出たアンデッドどもに剣を食らわせながら。ウリエルは必死に介抱している。ウリエルは戦う力がなく、守る力に特化していた。
子供たちは泣きながらウリエルたちについていっていた。
「くそっ、数が多いな!」
ミカエルが剣で斬りながら進んでいく。
不死族には物理ダメージが半減されるということもあり、苦戦を強いられていた。ミカエルは魔法は使えず、物理に特化しているためだ。
「亡者どもめ! 潔く成仏しろ!」
ミカエルは、剣を構えた。
そして、薙ぎ払いながら進んでいく。ウリエルも子供たちを引っ張ってミカエルの後についていった。屋敷の構造はわからないのでとりあえず進んでいる、という感じで、いつ出れるかわからない。子供たちもパニックに陥っており聞くにも聞けない状況だった。
「くそ、出口はどこだ!」
「階段がありました! ミカエル、降りるよ!」
「いや、うじうじ考えるな!」
と、ミカエルは辺りを見回して、ある場所を見つけた。
ミカエルはその場所めがけてつっこんでいく。バリン、とガラスが割れた音が夜空に響く。ミカエルは窓を突き破っていた。
ミカエルは落下していくが、飛べるので問題はなかった。
「こっちのほうが早いぜ」
「……失念していた。ミカエル! 子供たちを二人くらい抱えて持って…きゃっ」
と、ウリエルが叫んだ。
ミカエルはウリエルが心配になり屋敷に戻ると、アンデッドの一人がウリエルの肩を掴んでいる。ウリエルは子供たちを突き放していた。子供たちは隅に固まっている。
「ウリエル!」
「離せっ……!」
ジタバタもがくウリエル。だが、離す気配はない。
ミカエルはナイフを投げた。アンデッドの頭部に命中し、力が少し弱まった。その隙をついて脱出する。
「大丈夫か?!」
「な、なんとか……」
「噛まれてないか?」
「捕まった直後だから大丈夫……ありがとう」
ウリエルは首を押さえる。
「ウリエル! 私が食い止めているからウリエルは子供たちを連れて逃げろ!」
「わかった! ほら、いくよ」
ウリエルは子供を抱えて飛んでいった。
残されたミカエル。剣を構えるが、数が多かった。ミカエルはがむしゃらに剣を振るう。アンデッドたちは倒されていくが、ミカエルの消耗も激しいものだった。
「はぁっ……はぁっ……」
息を切らす。だが、アンデッドの数が減る気配はない。
一人で相手するには体力が足りなかった。隙も次第に大きくなっていき、危ない場面もあった。ミカエルは深呼吸をして、また、立ち向かおうとしたとき、どこかから声が聞こえる。
「加勢しよう」
と、その瞬間、アンデッドが蹴散らされた。
ミカエルは突然現れた女性を眺める。真っ黒なドレスをまとった彼女。ミカエルは直感で人間ではないと悟った。と、同時に強いとも感じ、ミカエルは少し興奮している。
「助かった」
「なに、ここを居城とするからな。邪魔ものがいたら困るのだ」
「そうか! はぁ……」
「しかしアンデッドが湧き出るな。やむ気配がない。ボスがどこかにいるのだろう」
ボスは今、ミキたちが相手をしている。
そのことを伝えるとその女性は感心したように笑う。
「ならば、我々は雑魚を相手どるとしよう。お前、名前は?」
「ミカエルだ」
「ほう。天使か。私はヴァンビー。吸血鬼だ」
「……」
「天使の敵として評される私だが、敵対するつもりはないな?」
「ああ。天使の敵とは私は認識していない」
ミカエルは剣を構える。
「……その剣で相手していたのか」
「そうだぜ!」
「……聖属性もなくただ斬るだけの剣でアンデッドを……。実力は私よりありそうだ」
「仮にも兵士長だからなぁ! 燃えてきた! 滾るぜえええええ!」
ミカエルはアンデッドの群れに突撃していった。