邪精霊VSロリコン共
邪精霊が憑りついていて黒く変色し精霊を拒否しているらしい。
うーむ。拒絶か。邪精霊といえどなにか抱えているんだろう。NPCも悩みがたくさんありそうだからね。
うーん、まずどうやってここから引きずり出すかだよなぁ。
「精霊王さんの力でどうにかなりませんかね?」
「うーん。やってみる?」
プレイヤーさんの一人にそう言われたので精霊魔法の光を唱えてみる。
浄化の光。これで邪精霊が出てきてくれればいいんだけど……。
すると、私めがけて木の枝が振りかぶられた。
「わっとお!?」
危ない!? 当たるところだった!
攻撃判定になるだろうから当たったら死んでいただろうな……。
「でも光属性が嫌いなことはわかった!」
避けながらかけさせてもらおうか!
他のプレイヤーさんにも手伝ってもらおうか。私を守ってほしいんだよ。当たったら即死。どの攻撃も一撃必殺とかになりそうだし。防御は相変わらず紙だからね。
「盾のみなさーん! 私を守ってくださいな!」
光魔法を唱え続けていると、とうとう正体を現した邪精霊。
……なんていうか、幼女?
背丈は私の半分もない。幼稚園児くらいの身長で、黒髪黒目。くりっとした目つきではなくちょっと悪い。ネコ目の幼女。
この子が、邪精霊だって言うのか?
「……やめてよ! 精霊王様! いじめないで!」
「うん! いじめない!」
おっと、思わず即答しちゃったよ。
「それで、邪精霊ちゃんはなんで精霊樹を乗っ取っていたの?」
「……チ」
「ち?」
「私の名前はマチ! 邪精霊って呼ばないで!!精霊王様でも怒るよ!! ぷんぷん!」
「ごめんね、マチちゃん」
私は頭を撫でる。
「幼女……俺に憑りついてくれねえかなあ」「スク水とか着せたいな……胸元にひらがなで「まち」って書いたら俺死んでもいい」「可愛いわねえ。私も結婚したらああいうような子供欲しいわ……」「ぐぅ……! 可愛いはやっぱ正義だったか……!」
なんだかギャラリーもこの可愛さにメロメロなようだ。
「マチちゃんはなんで精霊樹に憑りついてたの?」
「……だって、みんな、私をよくない精霊だっていうから。精霊樹を育てたらいい精霊になれるって聞いた。でも、私じゃ無理だった……。私って、よくない精霊なのかな……。精霊王様、私は精霊として生きてていいと思いますか……?」
「いいと思うよ。可愛いし」
こんな可愛い子に生きてちゃダメって言えないしょ? 可愛い子に死ねだなんてそんなことは言いたくない! 可愛いは正義だよ!?
それに、死んじゃったらマチちゃん愛でられないじゃん!
「い、いいの……?」
「うん。大丈夫。枯らすことで役立つことってあると思うんだ」
「……私が役に立てる?」
「たとえば葉っぱを枯らして土に混ぜたら腐葉土っていうものができてそれは農家の人にはありがたいんだよ? あとはわざと腐らせたりする食べ物もあるし物は考えようだよ」
「……精霊王様! ありがとうございます! そしてごめんなさい。私襲っちゃって……」
「いいのいいの! 王は寛大だよ! ……まあ、許してほしいなら? ちょーっとだけ撫でさせてもらいたいな!」
「う、うん。精霊王様がしたいなら私は……」
いいのね?
ぐふふふ……。じゃあ、全身くまなく撫でまわしてあげよう!
まずは脇ィ!
私は服をめくり脇に手を突っ込む。
おお、幼児体型。
「く、くすぐった……! ひゃっ……」
「きゃわいいなあああああ!」
「俺もう無理……デスペナ許せ……!」「わが生涯に、一片の悔いなし!」「俺の、最後の波紋だぜ……!」「燃え尽きたよ……もう、真っ白にな……」「なんだ……! この胸をえぐられるかのような痛みは……! これが、これが恋、なのか?」「俺今日からロリコンになる」「ロリコン王に、俺はなる!」
まだまだ、撫でまわし地獄は続けていく――