パーティへ行こう ②
王城に入るのにまず身体検査を行っている。
もちろん機械などないので手探りと魔法で。魔法使いの人が魔力を周波にしソナー的な感じで検査を行っている。
少しだけ浮遊感があった。
「通って良し!」
と、私たち三人は通らされた。
ドレスで着飾った私たち。王城の中のパーティが開かれる広間の一角に立った。立食パーティーであり、家ごとに好きなテーブルにつくらしい。
私たちはカリオス伯爵と立っている。
「うわぁ、いかにも偉いって感じの人が多い」
「貴族しかいませんもの。無理言って参加させてもらったので多少浮いておりますね」
多少どころじゃないような気がする。
私たちには品格というものがない。マナーとか習わずに生きてきた。倣ったマナーといえば食事中に歌を歌わないとかそんな程度。
品格があるほうがおかしいってんだ。
「ですがソゥ様だけ見事打ち解けているというか……」
「……ドラマでお嬢様っていう役もやってましたので。淑女を演じるのも可能です」
さすが真野ちゃん!
そして時間は進み、パーティーが開かれる。目の前で王と思わしき人がしゃべっていた。隣には王子が我が物のように立っている。
顔はイケメンだなぁ……。だけどこういうのって性格があれなんだよね。
「今日は我が息子カエサル・シュプレーヒが生まれた日。創造神アルテナ様に祈りを捧げましょう」
と、祈りをしている。
マツリ様も手を合わせ祈っていた。私たちだけが祈っていない。いや、アルテナ様が担当してたんですもんね。そりゃアルテナ様に祈りますよ。
周りに倣えで私も祈りをささげた。
「呼びました?」
と、隣にアルテナ様が立っていた。
「うおおい!?」
大きな声を上げてしまう。
みんな一斉にこっちを向いた。そ、そりゃ目立ちますよね……。だがしかし、騒ぐ人はいなかった。
「あ、アルテナ、様?」
「あ、祈りの時間中でしたか。呼ばれたと思ったので。どうぞ続けてください」
いやいやいや。祈られてる本人がそんな適当でいいんですか?
アルテナ様は気にせず、料理をぱくりと口に運んでいる。もぐもぐと食べ進めている。他の皆さんは茫然と立っていた。
「あ、アルテナ様が降臨なさった!」
「めでたい! 王子様の誕生日に運命か? 王子様万歳!」
いや、多分……。
「でミキ様私に祈りを捧げてどうしたのです?」
「……いや、特になにも」
「そうですか。あ、これ美味しい」
マイペースですね……。本来のアルテナ様ってこうマイペースなところがあるからな……。
というか、お肉食べ過ぎじゃありません?
「あ、アルテナ様! わ、わわわ、わわわわ私はッ!」
「マツリ。落ち着け」
「私はマツリ・カリオスと申します。アルテナ様。ぜひ名前を……」
「マツリさんですね。覚えておきます」
そう返事するとマツリ様は倒れた。
興奮しすぎたらしい。執事が呼ばれ、運ばれていった。みんなこちらに祈りを捧げている。アルテナ様は意に介さず料理を食べている。
「……なんだこの状況」
もう、パーティーどころじゃないような気がする。