ライバル?
「ふははははっ! こんなところで出会うとは奇遇ね生出!」
と、冒険者登録を終えた私のもとに一人、プレイヤーが現れた。
私のリアルを知ってる人らしい。私は記憶にないんだけど……。誰だ?
「……誰?」
「忘れたの!? 貴方のライバルの夕波 伊織よ!」
「……ああっ! 同じ女優の!」
思い出した。
でも、ライバル? 私にライバルなんていないんだけど……。
「同じゲームやってるとは奇遇ね。勝負よ」
「ええっ!?」
いきなり勝負を申し込まれた。
勝負って……なんの? 私まだ戦闘面は自信ないんだけど……。演技力なら自信あるしそれで戦うんならばっちこいかな?
っていうかいきなり勝負って何なのこの人……。
「その、知らない人からいきなり勝負はちょっと……」
「いいじゃない! ポケ〇ンだって目があったら知らない人でもバトルしてるじゃない! それに知らない仲じゃないわよ! 共演だってしたことあるわよ!」
えっ。あるの?
身に覚えがまるでないんだけど……。こんなすぐ勝負挑む子みたら忘れないと思うからしたことないと思ったけどあるの?
「あんたのサクラサクで主人公の妹役で出てたわ!」
「……ああっ! あの地味メガネちゃん!」
「地味メガネっていうな!」
三つ編み黒縁メガネといういかにも文学少女っていう感じの地味さがあったあの子が夕波ちゃんか。印象がまるで違う……。
今では金髪のガーリーヘアーになってるし……メガネじゃないから見た目でわかんないよ……。
「地味メガネちゃんがなんで私をライバルって……」
「……お母さんが真野ちゃんみたいに売れればねえっていうんだよ! だからライバル! 売れてやる! 真野ちゃんのように!」
「あ、そ、そう……」
そういう親もいるんだ……。
私の親は他所は他所、うちはうちというかマイペースな感じだしなぁ……。誰かと比較されることはなかったかな? 兄妹とか姉妹とかは比べられるってよく言うけど……。
「だから勝負よ! 勝負しなさい!」
「いや、どうつながるの……」
「勝負したらあなたのことよく知れるもの!」
ええ……。なんでそんなことになるの?
勝負以外にも話すとか、コミュニケーションを取ればいいと思うけど……。人間には口というものもあるし手もあるから気持ちは十分に伝えることはできると思う。
「私疑り深いの! もし好きって言われても信じられないから自分で信じたいように信じる! だから勝負! 勝負しなさい!」
「な、なんか支離滅裂だ……」
何言ってるかがぜんぜんわかんない。
「わかったよ勝負を受けるよ……」
勝負するまで開放してもらえないような気がした。
姉妹を比較するという親と周りの人っていますよね。美咲の家や周りでもよく比較され続けていました。
先生「なんで姉の美咲は勉強できるのに美鈴はできないんだ?」
近所の人「美咲ちゃんは愛想いいのに美鈴ちゃんがねぇ……」
父「美鈴や母さんにはあるのになんで美咲には……」
父はこのあと家からつまみ出されました。