ダンジョンの街で冒険者登録を!
戦闘を終えて馬車に戻る。
そして、馬車は何事もなかったように発進した。
「見えてきました。ソルガの街です」
と、外の景色を見てみる。
ソルガの街、はとてもデカく、街というより都市のほうが近いかもしれない。そう思ったのだった。
「今日と明日はこちらの街に留まります。別荘があるのでそちらで寝泊まりしてください」
「あ、何から何までありがとうございます」
そして、ソルガの街につき、別荘前で止まる。
馬車から降りて、外の日差しを浴びる。
「魔物に襲われることも少なかったですから早く着きましたね」
私のおかげでね。
「そうだ。お二人ともこの街で冒険者登録してはいかがですか?」
「この街にもあるの?」
「はい。どこの領でも最低一件はありますよ」
「そうなんだ」
「そしてこの街はダンジョンの街とも呼ばれてまして。ダンジョン攻略者が多数集まる街なので腕に自信がある人が多いですよ。チリンさんたちにうってつけの街だと思います」
ダンジョンの街……。
二日間でダンジョン一つを攻略……できそうにはないな。深さにもよるけど……。MPが持つ限りは大丈夫だと思う。回復もできるから。
「じゃあこの街でする?」
「まぁ、そうだね」
元の世界に戻るためのクエストはなさそうだけれど。
ダンジョンの街なのだからダンジョン関連のクエストが多いのかな?
「それじゃしてきます」
「はい。終わったらこちらに戻ってきてくださいね」
私たちは街に繰り出すことにした。
冒険者ギルドの場所を人に聞きながら辿り着く。冒険者ギルドでけえ……。軽い屋敷みたいな大きさ……。この程度で躊躇してちゃいけないな。よし、入ろう。
私はドアを開ける。
「おっ、新参者だぜ?」
と、誰かが呟くと射抜くような視線を向けられる。
こわっ……。もしかしてテンプレ起きるのかな? だとすると嫌なんだけど……。
「何日続くか見物だなぁ」
「何時間かの間違いでしょ」
と、声も聞こえてくるので笑われているようだ。
まあそれも仕方ないのかもしれない。見た目はか弱そうじゃ女子だから……。
「外野がうるさいけどちゃっちゃと済ませようか」
と、チリンが言うと。
どんとテーブルを叩いて立ち上がった男が一人。ひげを蓄えたムキムキのおっさんがこちらに迫ってきていた。
「だれが外野だぁ……?」
「お、”豪鬼”アルフさんがキレた! あいつら終わったな!」
アルフというらしい。
……まぁ、ここでテンプレをしていても仕方がない。とっとと済ませてしまおう。
ということなので、一発、精霊魔法を放った。アルフの横をかすめるように。
横をかすめた精霊魔法は壁に着弾し、爆発が起きる。アルフはぴたりと動かなくなった。
「これでも絡むっていうなら絡んできていいよ」
「ひ、ひいっ!?」
静まり返ったギルド内。
うう、いや、そういうつもりじゃないの。神様だからこういうの当たり前なのね? わかるでしょ?
「……ものすごく居づらいんだけど……」
「試合で勝って勝負で負けたかな……」
よくラノベ主人公はなんも気にせず登録するが、こういうの気になるでしょ……。
静かなのが逆に怖いっていうかね……。
「と、とりあえず登録済ませようっ」