馬車内
「私としたことがお礼を述べておりませんでした。ありがとうございます」
少女が礼をする。私たちはいいよと遠慮しておいた。
「私はマツリといいます。よければ馬車で目的地まで一緒に行きませんか?」
マツリは笑顔でそう提案してくる。悪くないけれど目的地がどこかによるかなぁ。
「私たちは王都にいこうって思ってるんだけどそこまでいくんですか?」
「奇遇ですね! 私どもも王都に戻る最中だったのですよ!」
そうなんだ。
なら私たちも一緒に行くことにした。馬車の中で私たちは座る。馬車で一週間とかいってたし結構かかるのだろうけど……。それでも歩くよりは早くつきそうだ。
「ふいーっ、歩きだと何週間かかったのやら」
「知らないけど二週間くらいじゃない?」
「歩きで王都目指していたのですか?」
「そうだよ。私たち乗馬スキルないからさ」
「あらまぁ……」
乗馬できるようになれたら嬉しいけどな。
「ならばお教えいたしましょうか? 私の家に馬乗りが上手い人がおるのですよ」
「ほんと!?」
いちばんに食いついたのがチリンだった。
馬に乗るのがそんなに好きなのだろうか。いや、かっこいいってイメージがすごいからだろうけど。ただ、あるにこしたことはない気がする。
「無料で!?」
「盗賊から救っていただき、グレンを癒してくれたのですからそれくらいのお礼はさせてください」
「やった! 乗馬できる!」
チリンはものすごく喜んでいた。
その様子を見てちょっと新鮮だと思う。チリンがこう喜ぶことなんてないからな……。というか、大体自分のことじゃなく私のことを考えてくれて……。
……私が言えた義理じゃないけどよかったね。
「……ん」
と、グレンという騎士が目覚める。
上体を起こし、辺りを確認していた。マツリはグレンに抱きついたのだった。
「グレン! 無事でよかったぁ!」
「お嬢様……? あれ、私死んだのではなかったのですか?」
「治してくれたんだよ! この人が!」
と、私を指さしてくる。
妙に大人びた態度をしていた彼女の子供っぽい場面だ。ちょっと微笑ましい。
「そ、そうですか。ありがとうございます」
騎士の人はぺこりと頭を下げた。
「グレン。無茶しすぎですよ。私も戦えるのですから今度から私も戦います」
「ですがお嬢様は……!」
「大丈夫です。これぐらいのこと怖がってたら貴族なんてできません」
やっぱり貴族だったんだ。マツリお嬢様……ね。
「……ミキ、貴族だって」
「そうみたいだね」
私たちが小さい声で話していると不思議そうにこちらを見た。
「貴族は嫌いでしたか……?」
「え、いやそんなことは!」
ないんだけど初めて見たというか。貴族っていうと大抵悪い印象しかないもんな。ラノベだと悪徳貴族だとかいてさ。私は腹の探り合いは正直嫌いだし……。
来世は貴族じゃないといいな。
「よかったです。平民の皆様は貴族を毛嫌いしている方が多くて……。嫌われたくないんですけどね」
と、少し苦笑いしていた。
書いてたデータ消えてちょっと萎えたんで今日はこの一話になりそうです……ぐすん。
ポケモンサンやんなくちゃ。グソクムシャ育てる。