乗馬スキルがほしい
道なりを行く。
私たちは隣村にもいくことにした。多少整えられている程度の道。現代のようにコンクリートがあるわけでもなく雨が降ったら泥でぬかりそうな道。むきだしの土がすごい。
「モンスターはやっぱりでるかぁ」
この階層にもモンスターはいるらしい。
とりあえず倒しておく。モンスターは茂みから飛び出してくる感じでたまに不意打ちしてくるから怖いのもある。馬車よく無事でいられるなとかそういう疑問はまずゴミ箱へポイだ。
「それにしても、マジの異世界かなここ。異世界転生でよくあるような感じなんだけど」
「貴族とか村とかね」
A2Oで貴族という言葉を聞いたのは少なかった。
一度他国の貴族の屋敷に潜入した程度であり普通のプレイしていたら貴族には関わらない。この世界で貴族はそんな珍しいものじゃなさそうだけど…。
「馬車で移動したかったけど週一でしかこないっていう話だしねえ」
なら歩いたほうが早い。
まぁ三十分程度なら大丈夫だろう。
そして、村についた。
家や畑が田んぼになっていたりなど変わってはいるが隣村である”サーザ村”ものどかなところ。いや、まず王都に行きたいけれど……。王都まで遠いしな。
運営は王都に行かせようとしているのかもしれない。馬車で一週間なら歩いていくのは何週間かかるのやら。
「とりあえずどこかで馬車を調達しないとね」
「……乗馬できるの?」
「無理、だけど……」
生まれてこの方馬に乗ったことがない。
乗馬スキルがあるかもしれないけど、どこでもらえるかがわかんないしな。
「ミキもないかあ。乗馬スキル」
「うん」
「乗馬スキルあったらかっこいいんだけどなぁ」
「白馬にまたがる王子様?」
「そう! というか、聖騎士とかだと映えるよ! まじでかっこいいよ!」
「でもそれ大体がイケメンに限るんじゃ……」
「それ以上言うな」
王子様が不細工だったら失礼だけど正直嫌だと思う。
要するに顔なんだよ。白馬とか聖騎士とかまずそこじゃなくて容姿のほうに向くんだよね。まぁ全身鎧で顔も兜に隠れているなら神秘的で素敵、なんて思うかもしれないけど……。
「王子様がイケメンだと限るなよ! 御伽噺とか乙女ゲームとかでも王子様は大抵イケメンだよ! だから白馬の王子=イケメンという方程式ができあがってるんだけど違うんだよ! イケメンだから白馬の王子が許されるだけなの! そこをつっこむのは乙女ゲームファンとして許せないよ!」
「あ、う、うん」
チリンのほうがだいぶひどいこと言ってるような……。
「逆に考えてみて! 不細工な攻略対象だらけの乙女ゲームは売れますか?! 好き好んで不細工を攻略したいと思いますか?!」
「……悪かった」
いつもと違うチリンの剣幕に押された……。
チリンちゃんは実は乙女ゲームが一番大好き。オールジャンルでゲーム行けるが好きなのは乙女ゲーム