ユキショウグンとトッププレイヤーガトツ
来たるべきときに備えて私は備える。
たとえそれが最終戦争とか終末の日とか聖戦だとしても、備えることが大事だ。
……いや、まずそれらはないだろうけど。
ちなみにジハードは聖戦って意味は厳密に言うと間違いらしい。
「努力」「奮闘」ってことだから違うらしい。なんでもいいじゃないか。かっこいんだから。
そしてラグナロクは神々の黄昏って言われてる。技でありそうだなあ。とても中二臭いけど。
「まあ、できるだけ戦いはないほうが楽なんだけど……」
なんてつぶやきながら精霊樹に寄りかかっていた。
なんというか、精霊樹の近くにいるとものすごく楽というか、心地いい。精霊王だから精霊樹が心地いいのも当たり前かもしれないけど。
「それにしてもチリンとかうまくやってんのかなあ? エルルゥとルルークは無難にやってそうだ。ユキショウグンはまあ、必死に食らい付いていそうだけどサンがなあ」
そもそも参加しないでただ寝ていそうだ。
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「な、なんで俺がいるサーバーに有名プレイヤーが勢ぞろいしているの!?」
運営によると完全ランダムでサーバーにそれぞれ配属されるようで、俺がサンと離れたのもランダムのせいだ。
それはいいんだけど……。
目の前にはトッププレイヤーのガトツ、生産職の筆頭デルク。それに続きローイ、カティがいる。すべての生産のトップと鍛冶のトップ、木工のトップ、攻略組のトップが同じサーバーに……。
俺のやることなさそうだなあ……。だってトップがたくさんいるんだもん。ガトツさんなんかもうレベル40だし。今のところ最高レベルが40だからもう限界レベルだ。
「おや? 君は精霊王のとこのユキショウグンくんか」
声をかけられた!?
「俺はガトツ。第一線組と言っているが君のギルマスには負けているよ。ぜひ紹介してくれないだろうか」
「あ、えっと……」
「なに、決闘とかしない。俺は素直に尊敬しているんだ。ぜひとも一緒に攻略しないかと誘おうと思ってね。聞いた話によると精霊王さんは考察力と観察眼に長けているらしいじゃないか。ぜひとも俺たちに協力してほしい。そう伝えておいてくれ」
「は、はい!」
「結果はフレンドコールで聞かせてくれればいい。だからフレンドになってくれ」
「わ、わかりましたあ!」
ガトツさんとフレンドになる。
ガトツさんは、気に入った奴としかフレンドにならないそうだ。攻略第一にしているし頻繁に送られてくるためにフレンド申請は全部拒否。しかも送ってこないように設定しているらしい。つまりガトツさんからフレンド申請が来ない限りフレンドにはなれない。
……まさに、レアだ。
中継役とはいえ、フレンドになれたんだ。光栄だ……!
「精霊の守護者……。ぜひとも同盟を組みたいな。限定種族が一人いるだけで心強いからね」
「そ、そうですね。俺も、ちょっと心強いです」
「だろう? 一回魔王のトロフィと手合わせしたんだが、能力が俺たちよりも違うな。勝利は出来たんだがやっぱり差を感じるよ。ただ、強い分欠点もあるから一概には言えないんだがね」
「ミキさんも防御力がものすごく低いって悩んでました」
「そうだろう? 王はなにかしら欠点を抱えているんだ。その点を踏まえると王も俺ら自身と何の大差もない。だが、問題は勇者だ。オールラウンダーというのは俺たちプレイヤーの上位互換。勇者が一番相手取りたくはないな」
「勇者……ロトさんのことですね」
ロトさんはたまにギルドに遊びに来たりする。
理由はミキさんに会いたいからなんだけど……。
「だけど、何かに特化していないから王たちには弱いと思えるだろうな」
「そういうもんなんですかね?」
「そういうもんさ。さて、これから俺は討伐に行くけどユキショウグンくんはどうする? ついてくるか?」
「はい! いきます!」
トッププレイヤーの戦闘を間近で見れるなんて嬉しいです。
ガトツっていっても新選組は関係ないですからね!
牙突じゃないですからね! 勘違いしないでよねっ!!
それと小話です。
ガガトツ「ガトツっと……ありゃ、使われてんのか。ならガをもう一個増やしてガガトツにしよう」ってことがあったとか。