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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第八層エリア 【優美なる妖精】
535/856

災厄 ⑧

 ベノムは生き残った私たちを見る。

 そして、地面に降りてきた。


 『今のを凌ぐか』


 と、ドラゴンから人の形態に代わった。

 ベノムは私たちに近づいてくる。ロトが構えるけれど、もう相手に戦闘意志はないようで。私たちに近づいたかと思うと地面に座った。

 約束はきちんと守るらしい。


 「私の負けだ。神はおろか、人間の勇者にもやられてしまうとは。人間は恐るべき速度で成長するな」


 ベノムは笑っていた。

 逃げていたオルテナも近づいてくる。


 「さぁ殺すのじゃ。躊躇うでないぞ!」

 「ばしっとやっちゃって!」


 と、ロトは剣を大きく振り上げる。ベノムは抵抗しない。もう死ぬということを受け入れているらしい。ベノムは、目をつむった。


 『そこで殺すのはまだ早いですよ』


 と、ロトの上に突然人が落ちてくる。ロトは「うがっ」といいながら地面にたたきつけられた。うわぁ……。アルテナ様。ロトを踏み台にしてますよ。

 私の横に降りてきたアルテナ様は私に笑みを浮かべる。


 「よく頑張りました。地上の魔物は鎮まりました」


 下でロトがぴくぴく動いている。あの、アルテナ様いい加減どけませんか足……。ロトの頭が踏まれたまま立ち上がってこないんですけど……。


 「あ、ごめんなさい。踏んづけてしまいました」


 ようやく気付いたのかひょいっと隣に避ける。

 ロトは頭を押さえながら立ち上がった。災難だったね、ロト。


 「ミキーーーー!」


 と、チリン達が駆け寄ってくる。

 どうやら動けるようになったらしい。チリンは私に近づいてくると、抱きついてきた。


 「ミキ死ぬかと思ったよ! 生きてるね! うん! よかったぁ!」

 「ふっ。私の知能にかかればこんなもんだよ」

 「そうだね」


 まぁ、結局動けていた人たちもロトと私以外やられてしまったんだけどね。トロフィ、ミソギは途中退場だった。

 あの爆炎をよけきれなかったらしい。私は目の前のロトを生かすことしか考えていなかった。ミソギたちには注意を向かないほど集中していた。


 MPが切れたよ。蘇生魔法の使い過ぎで。豊富なMPがここまで削れたとなると、相当長い時間爆発していた。というか、初めてかもしれない。MPが尽きそうになったのは。


 ……あと、これ一人じゃ絶対無理だ。勝つの。


 「ベノム。あなたがしたこと、犯した罪。わかっておりますね?」

 「……ああ。わかっている。どんな処罰でも受けよう。アルテナよ」


 アルテナ様がベノムに詰め寄る。

 ベノムは俯いたままだった。


 「……貴方は死ぬ、という結末にはさせません」

 「……なぜでしょう」


 ベノムがアルテナ様にそう問いかけた。

 アルテナ様は咳ばらいを一つし、口を開く。


 「生きることこそもっとも重い罰だからです」

 「生きる……?」

 「死ぬのは一瞬で終わります。死んでしまえば痛みも、苦しみもなにもかも忘れてしまう。自分が償うべき罪も、受けるべき罰も受けれない。死ぬのは一種の逃げ、ですよ?」

 「逃げ……」

 「私も怒りに任せて神を手にかけるところまでいったこともあります」


 そういうとオルテナがうっと震えていた。

 あの時か。ディストピアの世界でのこと。アルテナ様はオルテナを殺そうとした。その恐怖がまだオルテナの中にはあるらしくカーリに介抱されながらアルテナ様を眺めていた。


 「ですが、殺すべきではないのです。死んでいい神や人はおりません。私も、ミキ様も、チリンさんも、アーサーさんも、ルシファーさんも、オルテナも、カーリも、ベノムも。すべての神や人、魔物には生きる権利が与えられているのです。人間だって自分たちが生きるためにこの世界に来たのですよ。生きることへの執着は醜いかもしれません。ですが、それが本来、私たちのあるべき姿なんです。潔く死のうなどとは、ミキ様への冒涜ですよ?」


 にっこりとベノムに微笑んだ。

 私への冒涜って……。たしかに生命の主神だからあながち間違いではないのかもしれないけど。


 「ミキ様の許可なく死ぬことは許しません。あなたは生きて罪を償うべきです。神の寿命は永遠なのですからきっと償えます」

 「……わかりました」


 と、ベノムとアルテナ様はこちらを見てくる。


 「……じゃあ死なないでよ。なるべく殺したくないからさ」

 「はっ」


 ベノムは傅いた。

 

 「さて、私は世界を元に戻しましょう。これからは人々が過ごしやすいように季節をループさせるなんてことはしないようにしますね。四季を作り、人々が苦しめられるようにもします。ベノムが暴走した原因は私にもありますからね」


 と、笑っていた。

 そのアルテナ様の笑顔は美しかった。


 《ワールドクエスト:厄災 をクリアしました》

 《称号:災厄を振り払いし者 を獲得しました》

 《レベルキャップが200まで解放されました》

 《真・エンドをクリアしました》

 《到達したため世界のレベルが一段階上がります》

 《Another Arcadia Onlineのアップデートを始めます》

 《皆様は二時間後に強制ログアウトされますのでご注意ください》 

















まずラスボスに挑む最低条件

・ディストピアにプレイヤーの誰かがいく

・封印されているベノムを解放する

・プレイヤーに神がいる


ぐらいですね。


あと分岐だけ説明しましょうか。

真・エンド→オルテナ、カーリ、ベノムが生存

グッドエンド→オルテナ、カーリが生存し、ベノムが死亡

バッドエンド→オルテナ、カーリ、ベノムが死亡


グッドエンドだった場合はベノムが死んでしまったけれど――と会話になり

バッドエンドだった場合はアルテナが来たときにカーリとオルテナが死んだことを知り、ベノムを殺害。そのあと、墓を建てて引きこもる。


アルテナ様、オルテナ様好きですから。


あと、一応は妖精の国の章ですからね。まだ妖精の国は続くし、ボス出てきてないし…

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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