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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第二層エリア 【機巧士たちの集う場所】
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イベントの推測

 村の周りをひとしきり歩いてみる。

 村は日本の田舎町と同じで長閑だった。静かで風が穏やか。山に囲まれているだけあって木々がたくさん見える。あの森にはきっと動物がいるだろう。動物という名の魔物が。


 ふむ、魔物か……。


「魔物は関係あるのかな?」


 わからない。

 ……あっ、そうだ。さっき井戸の水が汚れてた。なんで汚れたのか聞いてみよう。なにか見えるかもしれない。


 私はさっそくその井戸のことを相談してきたNPCの人に話を聞いてみた。


「わかんねえだよ。昨日突然濁ったんだ。うちの女房がそれを飲んで腹下しちまってな。浄化を頼みたかったんだ」


 やっぱり。

 絶対、なにかある。突然濁るなんてのは考えられないと思ってる。いや、あるのかもしれないけど突然濁るなんて……。

 それに、プレイヤーのみんなもおかしいとは思わないのかな。そもそも、なぜこんなにも困り事・・・があるのか。町のみんなが一斉に困ることなんてなくないか? 畑とか起こすならわかる。人手が足りないとかは普通だと思う。けど、井戸の水が汚れたりするのは変じゃないだろうか。


「うーん……」


 絶対、なにかあるだろうなあ。


「まあ、いっか」


 考えるのをやめ、私はまた手伝いのたびに出ることにした。



「精霊王様。来てくれたかい。ちょっと頼みたいことがあるのさ」

「はい。なんでしょう?」


 困っていたのはふくよかなお母さん。とても食べそうだね……。


「ここんとこ作物が育たなくてさあ。小松菜もほら、しおれちまって。栄養がないんじゃないかと私は踏んでいるわけよ。そこでこの肥料をまきたいんだけど……昨日ボアに腕をやられちまってまけないのさ。精霊王様に頼むのは申し訳ないんだけどちょっと撒いてくれる?」

「お安い御用ですよ」


 風で散布しよう。

 風に乗せてうまく畑に撒く。初めてながらうまくいったような気もするさ。


「それにしてもあたしも落ちぶれたもんさねえ。ボア程度最近までは楽勝だったんだけどやられちまうとは歳も取りたくないもんさね」

「災難でしたね」

「そりゃもうそうさ。そういやあんた知ってるかい? 村長の孫娘が行方不明になった話」

「村長の孫娘が?」

「そう。ここ最近村長の孫娘が家に帰っていないのさ。どこほっついてるのかわからないけどもしかしたら攫われたんじゃないかと思ってる。精霊王様。気が向いた時でいいから探してやってくれないか?」

「わかりました。探してみますよ」

「ああ。頼んだよ。さてと、肥料も巻き終えてくれたことだし、ありがとね。お礼に私特製林檎ジャムを上げよう」


 林檎ジャムを受け取り、私は精霊樹の広場に戻っていく。

 精霊樹に寄りかかり、再び考えることにした。


 ボアに負けないお母さんがボアに負けた? 村長の孫娘が行方不明?

 なにか関係があるのだろうか。そして畑の作物が育たなくなったって……。急にそんなことあるのかな? 畑の使い過ぎだとしても普通なら小ぶりのものができる。しおれるなんてことあるのか?


 ここまで不審な点があると、もう、わかっちゃうよなあ。


 絶対、なにかある。

 しかも、戦闘もあるだろうな。


 ……戦う準備だけはしておこう。

 多分キーになるクエストもあるはずなんだ。それがあってまた、イベントが進むんだろう。ただ、ひたすら貢献度稼いでいたらいいってわけでもなさそうだ。


 村の探索も、やっていったほうがいいのかもしれない。










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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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