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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第八層エリア 【優美なる妖精】
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愛すべき世界 ④

 「痺れっ……!」


 痺れのせいか、動いていない。

 痺れの状態異常は一定時間相手の動きを封じることができる。戦い方としては痺れさせて攻撃を叩きこみ、また痺れさせての繰り返しだろうか。やることは単純。だけれど、当てる精度が求められる。上手くタイミングを合わせて痺れさせないといけない。


 「ぐう……!」


 痺れている今、プレイヤーたちが攻撃を叩きこんでいた。

 一定時間たつとしびれは解ける。またかけなくてはいけないが……。相手の抵抗力によってその時間が変わるから見極めないといけない。


 10秒……。動いていない。

 15秒……。少し動けている。

 20秒……。もう少しで動きそうだ。

 

 そして25秒。


 「仕返しをしてやろうか」


 動けるようになっていた。

 痺れる時間はおよそ25秒。並みのモンスターは抵抗弱い奴ならば30秒痺れる。抵抗が少ないほうだろうな……。状態異常には本当に弱いんだろう。


 「の前に」


 その時だった。

 私の目の前にいきなり現れる。ケリの構えをしていて、今から身を引いても当たるだろう。見えなかった。瞬間移動でもしたのだろうか?

 だがしかし、躱す手がないわけじゃない。が、あれはタイミングがシビアだからな……。


 そして、ケリが私の鳩尾に向かって一直線に入る。速度が速い。

 

 そして、私のおなかにクリーンヒットした。一瞬で体力バーが削れていく。防御はゴミだから仕方のないことだ。こういう高火力を受けたら一瞬でお陀仏。

 だがしかし、本番に強い女の子です。


 「なっ……!?」

 「へへん。甘く見ないでよ。”転換”」


 ステータスを転換し、驚いて固まっているベノムの足を掴む。もう片方の足で蹴ろうとしてきたが頭から地面に落ちていた。だがしかし、足が迫ってくる。

 私はそのまま横にスイングした。ぐるぐると回転する。


 「おらああああ!!」


 そのまま投げつけた。

 転換すると力がバカ高くなるんでい! 舐めるなよ!


 そして、転換したステータスを元に戻す。


 「ふぅ。助かった」

 「……ミキ。今一瞬体力が全部削れたように見えたんだが……?」

 「ん? ああ、それね」


 なに、簡単なことよ。


 「全部削れた時に少しだけ操作可能時間があるからその時に自分に蘇生をかけただけだよ」

 「……あるのか?」

 「あるんだよ。ほんのちょっと。コンマ一秒ずれるだけで操作不可能になるけど」

 「は?」

 「死ぬと同時に蘇生するんだよ」

 「は?」


 いや、そんな驚かなくても……。タイミングがシビアって以外は簡単だよ!

 とはいっても、今はそういうことを話している暇はない。まだ体力もそんな削れてないのにこちらの軍勢が少ないんでっせ……。


 「……ハメることはできなさそうだしなぁ」


 このゲームのAIは本当に高度でハメられているとわかると脱出しようとする。できないのがハメ? そんなことはない。壁のせいでハメられているのなら壊してしまえばいいという根性で攻撃を我慢しながら壁を壊したり地面を壊してるのがこのゲームだ。

 だからこそ、ハメというのは厳しいし、ここは壁も障害物も何もない荒野。どこでハメれるのか。


 「鏡の国と不思議の国の住人よ!ベノムに突撃!」


 アリスは鏡から何か出していた。トランプ? スペードやジャックのキングやクイーンの顔をした人たちがベノムに突撃していく。

 あれ不思議の国のアリスのキャラだっけ……?


 「妾が世界に封じ込めるだけではないぞ? 軍隊もきちんと持っておるからのぅ! 敵わぬとはいえ人数稼ぎにはなる!」


 人数稼ぎ……。

 これでプレイヤーが死ぬ確率も少しは減った、ということだろうか。不思議の国の兵が攻撃していくが大体は無残に散っている。ちまちまと攻撃はしているらしく少しずつ体力の減少が見られるが。

 ただ、本当に少しの減少。これだけ少ないと勝てる気がしないが……。


 と、その時だった。 

 

 ゴエモンがベノムに向かって走り出していく。


 素早い身のこなし。だがしかし、あのままでは……!


 「おいミソギっつったか? あいつを今麻痺させろい!」

 「わかったわ」


 不思議の国の兵に気を取られているのかミソギの痺れが簡単にかかった。

 そして、ゴエモンがベノムに手を伸ばす。胸元からなにかを引きちぎっていた。金属のチェーンが見える。ペンダントだろうか。


 「お宝頂きっ! ずらかるぜ」


 そのお宝を取った瞬間。

 少し体力の減りが早くなった。いや、攻撃が通るようになっているというのか? 今までも通っていたけれどあれはもしかして威力が減少したまま入っていたのだろうか。


 ゴエモンがペンダントを渡してくる。鑑定してみた。


 ――――――――――


 吸収のペンダント:相手からもらうダメージを少しずつ吸収する。相手に向けて使用すると溜まったダメージを一気に与えられる。


 ――――――――――


 なるほど。

 このペンダントが攻撃を妨害していた。これがある程度溜まったら私たちに向けて放つつもりだったんだろう。ゴエモン、またしてもファインプレー。


 「よし、そのまま削るよ!」


 そして、プレイヤーたちは攻撃を当てていく。

 その時は、やっと訪れた。


 「ぐはぁっ!」


 ベノムが倒れる。体力が、ゼロになった。













ラスボスこんな短く終わる?

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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