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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第八層エリア 【優美なる妖精】
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愛すべき世界 ③

 バリアが破れたベノムは膝をついた。


 「くっ……まぁ力はあるようだ。だがしかし、バリアが破れた今、私は本気を出せる」


 そういうと、ベノムは力任せで死者の縛りを引きちぎり、一瞬でプレイヤーたちとの距離を詰める。その瞬間、プレイヤーの多くがポリゴンとかして消えていく。

 バリアを破った今第二段階ですか……!


 「ぐぅぅ!」

 「ほう? 盾で防ぐとは人間風情がなかなかやるではないか!」


 ランスロットが盾でベノムの攻撃を防いでいた。


 「ランスロット! 其のまま押さえてるんだ!」


 アーサーは勢いよく切りかかる。が、避けられてしまい、蹴りを入れられていた。ぐぅと呻き吹っ飛んでいくアーサー。私は吹っ飛んでいくと同時に回復魔法をかける。死んでも蘇生はできるから安心して戦え。一斉に死なれたらタイムアップで間に合わないけどね…!


 「アーサー様!」

 「人の心配をする暇があるなら自分を心配するんだな」


 ランスロットの胸が貫かれた。

 死んだ……が、蘇生! ランスロットは生き返る。あっぶねえ。


 「ミキ様! 助かりました……!」

 「一斉に死なないようにね……! 助けられないから!」


 ランスロットは立ち上がった。


 「生命の主神……! やはり神は封印しておくべきだった……!」


 ふんだ。そう簡単に殺させるもんかっての。

 とはいっても、先ほどの攻撃でプレイヤー数が大幅に減ったのも事実。あと30人くらいしかいないとなると攻撃力もそれなりにあると考えたほうがいいな。


 「オズ。オズは今回戦わずに回復に専念してもらうことできる?」

 「承知した!」


 オズは回復魔法も使えるだろう。


 「ミカエル。やるぞ」

 「任せろ!」


 ミカエルとルシファーは突撃していく。

 ベノムも二人の剣を手で受け止めた。力比べをしているのかミカエルとルシファーは苦しそうに剣を押し込んでいる。

 ベノムも少し余裕がなさそうだ。だがしかし、すごいのがそれをやりながらも周りを魔法で攻撃しているという点。それをしていながら互角ということはさすが神様というべきだろうか。


 「どりゃあ!」


 ミカエルが一度剣をベノムから離し、もう一度切りかかる。

 一発でやるより連続に切り替えたようだ。


 「甘い!」


 ベノムは大きく蹴りを入れる。衝撃波が飛んでくるのだった。ぶおん、というカザキリの音が聞こえたと思いきや、少しダメージが入っている。少し離れた私にダメージが……?

 それをもろにうけたミカエルとルシファー……!


 「うぐああっ!」

 「ああっ!」


 ミカエルとルシファーが吹っ飛んでいく。

 体力はつきそうだ。回復! 耐えてくれ! ミカエルとルシファーに回復魔法を唱えてやった。同じタイミングで飛ばしてくれたから範囲魔法を当てれば回復しますね!

 感謝ですね!


 「はっはぁ! ベノムというやつよ! 俺が相手してやる!」

 

 ガガトツがベノムの前に出る。

 ベノムもガガトツの存在に気が付いたのか、にやりと笑みを浮かべていた。その笑みを見て、なんだか嫌な予感がした。


 「ガガトツ! 今突撃するのはダメっ……!」


 そういったと同時に、ベノムはガガトツに向けて裏拳を放つ。裏拳がクリーンヒットしたガガトツはポリゴンと化して消えていった。

 あの裏拳の威力が凄まじい……!

 たぶん、一番威力が高い物理技だろう……。厄介だ。隙がある、とはいえ基本のけぞらないベノム。攻撃を当てれば……とはいかない。高火力攻撃を先に当てなくてはのけぞらないし、弱い攻撃だと受けてしまうなあれ……。


 「物理火力枠がなくなったのが痛い……!」


 此処のプレイヤーでみると物理が一番あるのがガガトツだ。次点でロト。ロトは全体的なステータスが高水準なために勇者と呼ばれている。

 

 「あんましダメージ与えられていないな……」

 「弱点を突くくらいのことをしなくちゃならないのかもね」


 私とトロフィはずっと観察し、指示を出している。

 こういう考察系は私とトロフィがやることになったし、トロフィは複数のことをやれないらしい。どうも頭がこんがらがって戦闘中に考えることはそれほどせずプランを立てて挑むというのがトロフィだ。野生のモンスターとはほぼ勘らしい。大体はごり押しだということだ。


 「弱点は何だろうな」

 「闇……だと考えれば光なんだろうけど、光属性と闇属性は攻撃向きの魔法じゃないからねえ」


 フラッシュ、ブラックホールなど。ブラックホールは相手を吸い込んで固定するだけ。フラッシュに関しては光るだけ。

 ナパームとか私はあるけれど弾速遅いし、光魔法は消費MPも多いため戦闘には向かない。ましてや長期戦となるとMP管理も大事になるから光属性魔法を気安く打てるわけがない。


 「……状態異常」

 「は?」

 「状態異常は効かないのかな? 素早いんだから当てるの難しいだろうけど状態異常で麻痺とかしたらどうなるんだろう」

 「……やってみる価値はありそうだ。幸いミソギがいる」


 ミソギはまだ生き残っていた。

 プレイヤーももう本当に少ない。うちのギルドの何人かもやられている。ロック、うぉたぁ、ジャンヌ、シャンバラ、アガルタ、ルルークの姿が見えないということはやられたんだな……。


 「ミキ! やっぱりこれ無理ゲー臭いよ!? 百くらいいたのがもう十数人だよ!?」

 「うん……」


 すばやい高火力で高いHP。きついものがある。チリンの弱音も、正直わからなくもない。


 だって、人数が人数だ。

 すべてが高火力で技の出が早いためによけきれない人が多い。


 「でも、最後まであきらめないよ」


 私は餓鬼、とかいう無理ゲーもこなした。

 できないことはない、と過信する気はないが、勝てる見込みがあるからこの勝負を受けたんだ。だから、やる。


 「ミソギ! 麻痺させてみて!」

 「かしこまったわ……!」


 ミソギは麻痺の魔法を放つ。

 すると、ベノムが立ち止まってしまった。ベノムは状態異常に弱い!












みなさん数発攻撃を受けてしまって死んでしまっております。

明らかに無理ゲー臭くありません? 運営さん。結構な人数が死んでるのですよ?

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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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