第二回イベントの考察
なんとも精霊王の権力。困ってる人が多くて私が助けている。なんだか申し訳ない。ただ、これって個人よりサーバー対決だから……まあ、いいんじゃないってことで。なんかすいませんね。
私がやることは大したことじゃないけどね。
「精霊王様の力で井戸の水を復活させてほしいんですー」
「わかりました。浄化の泉!」
浄化の泉は入ると状態異常を回復してくれるものだ。
浄化ってことはあれだ。水を綺麗にする作用も含まれているはずだ、多分。
「おお!戻っただ! さすが精霊王様!」
「今度は私のほうもお願いできますか!」
「はーいわかりましたあ!」
次から次へと頼まれごとが……!
これじゃ今日中に終わんないよ! だれか可能な範囲で手伝ってくれないかなあ……。というか、できる範囲なら私じゃなくて違う人にも頼んでほしい。
たしかに人間はさ、力あるものに頼りたがるけど……不公平じゃないかなあ……。私だけにこの量ってさ……。
「あのー、俺ら手伝いましょうか? ミキさん」
「?? 私知ってるの?」
「有名ですから」
声をかけてくれるプレイヤーの人もいる。とても優しい。
「じゃあお願い。あのおばあさんのとこ手伝ってあげて。耕すだけだから」
「はーい」
「わかりましたあ」
指示を出し、私も目の前の仕事を片付けようと……。
あれ、なんだか列になってない?
「精霊王様! 俺らにも指示を!」
「精霊王様!」
「……ナニコレ」
私の指示を待つ、たくさんのプレイヤーの姿がそこにあった。
私はさながら会社の偉い立場にいる人みたいで。
「君はこの付近の魔物の討伐に、君はこの村の設備を点検してあげて。君たちは田畑を耕す!」
私は必死に指示をしていた。
総司令官とかそういう偉い立場ではないんだけど……。それに、私だけに頼らないでくれないかな。私は一人でひっそりと依頼解決したかった。
私たち、この村のサポーター、スケットダンs……何年前の漫画だっけか。
「はぁ。じゃあ、私も働きますかね」
私は歩きだす……のをやめた。
ちょっとだけ、考えることにした。
このイベント。ただ、貢献度を稼げばいいのだろうか。だとするとツマラナイ。なら、他になにかやることがあるのかもしれない。
運営が言っていないだけで、何かやることがあるとしたら……。
うーん。推測じゃなくて仮定の話だけどちょっとだけ捜査してみるかな。
運営がなにか隠しているかもしれない。何かのイベントとか多分あるんじゃないんだろうか。みんなは貢献度稼ぎに夢中になっていて、そういうことを考えない。
だから、気づけないこともあると思うのさ。
……まあ、ぼちぼち探していきましょうかね。あと六日ぐらいあるしね。今日含めなかったら。