ウリエルの仲直り ①
ウリエルの中に入った私。
操作はできるようだ。この場合ウリエルは寝ている扱いになるのかな。
「ウリエルー、聞こえるー?」
『は、はい! 聞こえます。わ、私の体なのに不思議ですね。自分で動かせないのって……』
天使は起きてる状態になるのだろうか。
神の眷属だから抗う力も持っているということなのかもしれない。天使NPCと人間NPCは別物、と考えたほうがいいのかな。
「さて、天界いこっか」
そう思い、飛行スキルを使おうとすると。
「ウリエル。ここにいたのか」
ルシファーが降りてきた。
バサバサと天使の羽根を羽ばたかせるルシファー。地面に着地し、私に詰め寄ってくる。
「ミカエル、ガブリエルが心配している。早めに天界に帰れ」
「今から帰るつもりだよ」
「そうか。ならいいんだ」
ルシファーって結構世話焼くタイプなんだろうか。こうしてるのもミカエルたちがルシファーにでも相談したとかそういうことだろうか。
うーん。ルシファーって仲間思いだなー。
「喧嘩したことは知っている。面倒だから仲直りしろ」
「はーい。優しいんだね。ルシファー」
「……別に天使同士で喧嘩してほしくないだけだ」
照れたのか顔を背ける。ルシファーって意外と可愛いな……。というか、私が中にいることも知らないのか。ルシファーでも探知できないんだなぁ。
そう思っていると、こちらを向く。
「そういえばウリエル。神の力でも貰ったのか? 随分と神の気配をお前から感じるのだが」
「そ、そう? ミキ様の神気にあてられてるからじゃないかな」
「そうか。それもあるか」
嘘です中に私います。
「それじゃ天界向かおうか。ルシファー」
「私は行かないぞ」
「なんで?」
「どちらの事情も知らない私が行くのは違うだろう」
といって去ろうとする。が、私はルシファーの腕を掴む。
「行こうよ、ね?」
「わかった! わかったから離せ!」
《クエスト:ウリエルの仲直り を開始します》
天界にくると、ルシファーの姿を見てラファエルが駆け寄ってくる。そしてこちらをちらりと見ると微笑んだ。
可愛いな間近で見ると。
「ウリエルさん。仲直りする気になったんですね」
「う、うん。その前に私がいない間の天界の様子について教えてもらえる?」
「はい。まぁとりあえず座りましょう」
手ごろな岩に座り、ラファエルの話を聞くことにした。
「まずは先日神が封印された謎の事件、ありましたよね?」
「あったねー」
私も封印されていたなー。
「その件もあり、封印などに詳しいガブリエルが封印の形跡を辿る仕事を与えられました」
「ほう」
「それが忙しいらしく歴史の整理もろくにできないといってます。これはまぁ仕方がないでしょう」
ウリエルはどう思ってるんだろうか。
『仕方がないですね。事実優先事項は神に危害を加えた者の調査になりますし整理できてないことは仕方ないといえますね。今は』
「ミカエルさんなのですが、ウリエルさんがいなくなって危機感を覚えたのか備品を管理する仕事をやり始めました。すごく反省していましたよ」
『……なら許してあげようかな。私も悪かったし』
ウリエルは仲直りするつもりのようだ。
「ウリエルさんの業務は私がこなしてますよ。それがもう辛いので早く仲直りしてくださいね」
「わかった。私も悪かったし謝るよ」
「よかったです」
……まぁ、ここはもう私が関わる問題じゃない。素直にネタバラシしよう。
「ウリエル、合体解くよ」
そういって、合体を解除する。
すると、ルシファーは驚いたように私に目を向けてきた。
「み、ミキ様がなぜここに?」
「ごめんね。さっきまでウリエルと合体してたんだよ」
「……神様ってこういうことできるんですね」
「まぁできるらしいね」
私も教わる前までできなかったけど。
「ウリエル。ほら、謝りに行くんなら自分で行きなよ」
「はい」
ウリエルは、決意したように走って向かっていった。私たちも追うことにした。