VRMMOの悪いところ
ローイの神器制作だったり緊急イベントクエストとかでこの三日間くらいものすごく疲れた。
今は現実です。はい。お母さんに叱られた……。ゲームばっかやってないでたまには体動かしなさいって言われた。
うん、たしかにその通りですね。
二の腕もちょっと肉がついた気がする。ぷにぷに。
「今日一日ログインできないのも辛いなぁ」
ゲームの中では何日経つのだろう。
その経った日数でもできることはあるのに! お母さんめ! ヘッドギアを隠しやがってぇ……。見つけようにもお母さんの部屋だしなぁ。今日一日は返してもらえなさそうだ。
私が外に出ると、ジャージ姿の珠洲もいた。
サングラスとマスクをつけて。
「……なにしてんの珠洲」
「ひゃあ!? 美咲!?」
大変驚いてるようだけどなにがあったし。
珠洲がジャージ姿とか珍しい。外出するときはきちんとおしゃれはしているはずだけど。コンビニ行くにしてもジャージではいかないんだけど?
あ、運動ですか。
「……運動ね」
「うぐぅ……」
「そういや最近太ってるような気がしなくもないね」
「いや、太ってはいないけど……しいて言うなら胸が」
「あ?」
「すいませんもういいません」
私なんて胸育ってないのに……。珠洲だけそんなデカく育っちゃってぇ。私なんか壁だよ? 多分ボーイっていっても通じると思うほどないよ?
それなのに……。
「こんな立派な胸を……!」
私は珠洲のおっぱいをとりあえずはたいた。
「いだぁ!?」
「少しくらい私に分けてくれてもいいじゃないかぁ……」
地衣もそれなりにあるし……なに? 私にはおっぱいを与えないよう神様が決めてるの?
「だとしても叩くことないじゃん……。いてて。で、美咲はなんで外に出てるの? A2Oやんないの?」
「たまには外に出て動けって言われた。隠されたんだよ珍しく」
「まぁここ最近どっぷりやってるもんなぁ」
まぁ、休みの日はトイレとご飯と寝る時以外ずっとゲームしっぱなしだし……。やりすぎてるような気はしなくもない。というか、立派にやりすぎてると思ってるけど。
それでも隠すことはないじゃん。やれって言われたら私素直に従うよ?
「珠洲は?」
「うちも同じ。と、体力をつけなくちゃなって」
「体力……?」
「ゲームしてると寝転がってばかりだし筋力とか落ちるじゃん? あれのせいか最近階段上がるのもちょっと辛い」
「老化してるなぁ。人のこと言えないけど」
お金がある人なら微振動するベッドがあってそれに寝っ転がってやってるもんだけど私の場合それないから筋力が落ちてくんだよね。
ほどほどにしたほうがいいのはわかってるけどやめられないんです。
「だからたまにはこうして体動かさないとやばいなって」
「フルダイブ型MMOの悪いところだよねこれ」
VRの世界では上手く体を動かせてても現実で思ったように動かせなくなるのはよくあることらしい。特に私のプレイとかやってると現実でもそうしちゃってぎっくり腰……とかになる例もあるんだとか。
まあA2Oにぎっくり腰という概念は存在しないしね……。
「だからさぁ……。ゲームやる時間減るのは嫌だけど体力減って学校行くのもままならないっていうのも怒られるしやんないとねえ。ミキどうせなら一緒に走ろうよ」
「いいよ」
「よし、じゃあ……緑公園まで!ってもういった!?」
マラソン大会で一緒に走ろうっていう奴ほど早く行くんだよ。
言ったのは私じゃないけど。
現実回