天使はブラック企業
天界に足を運んでいた。
ガブリエル達四天使が仕事をしている。ガブリエルはなにやら手でカメラ枠を作って覗き込んでいる。執筆してる小説?のネタ探しかなんかだろうか。
ミカエルはその横で腕立てしてるし、ラファエルは紅茶を飲んでいる。
「……お前らも手伝いやがれーーーーーー!!」
と、そこに乱入してきたのはウリエル。
ウリエルは髪がぼさぼさで目には隈ができていた。何日も寝てないのかもしれない。なんでそこまで追い込まれてるんだろう……。
……もしかしてあれか? あのディストピアのときの。あれアルテナ様来たけど今考えてみればよく来れたなって。ほら、少し開けるだけでも私にお留守番をさせたのに……。
……しわよせがウリエルに行ったんだ……。
「昇進おめでとう」
「嬉しくないわい! 熾天使になってこんな大変だと思わなかった! っていうかあんたらも昇進したでしょ! 熾天使なら手伝え!」
「稽古に忙しい」
「小説がスランプで……」
「今朝仕事をしました」
……ラファエルは仕事してるけれどミカエルとガブリエル仕事してないのかよ……。
よくそれで熾天使が務まるな……。
「ラファエルは自分の分きちんとこなすけどあんたら私に押し付けてるだけじゃんか! ふざけんなよまじで。堕天するぞ」
「追い込まれてますねぇ」
「笑うことじゃない!」
相当追い込まれてるな……。
ミカエルとガブリエルさ、真面目に仕事しよ?
「稽古してからやる」
「一本だけ仕上げてからで」
「いつ終わるの」
「今日はぶっ続けでやるつもりだな」
「スランプで……。しばらくかかるかもしれません」
……やる気ないだろ。
ウリエルもそう思ったのか、何かぷるぷる震えている。
「もう頭きた! ストライキしてやる! ミキ様! 私を連れ去って!」
「え、ええ?」
《クエスト:ウリエルのストライキ を受けますか?》
あの、しわよせ私にも来るんですが。
ウリエルは本当にキレてるらしく息を切らしながら私に詰め寄ってくる。いや、多分元はといえばアルテナ様が悪いけど……。
まぁ、受けるか……。マイナスクエストくさいけど。
「ウリエルさん。本気ですか?」
「本気よ! 私はもう仕事しないもんね! ここ一週間碌な睡眠もとれてないのよ!? むしろ私を称賛したくらいだわ! よく一週間も文句言わず徹夜続きでやったって! 人間だったらふつう死んでるからね!?」
「ブラックだなぁ……」
天使の職場環境最悪過ぎないですかね……。
というか、ウリエルは本当に褒められるべだ。一週間徹夜で文句も言わずに押し付けられたミカエルとガブリエルの仕事をしていた。それに加え自分の分もあるとなると量がすごそうだ。
「まぁ、仕方ありませんね。責められるべきはあの二人ですし。ウリエルさんがいなくなってからどうなるか思い知ってもらいましょうね」
「泣きわめく姿が目に浮かぶわね。ミカエルが」
「ガブリエルさんはああみえて有能ですもんねえ」
「ああ。ガブはやらないだけで私の仕事はできるからたちが悪い」
……たしかにたち悪い……。
ウリエルよく投げ出さなかった。
まさかのブラック企業で500話…