ヒュプイストスの試験 ③
そして、一時間くらいかかったと思うとき。声が上がる。
「できた!」
と、ローイは武器を掲げていた。
アルマゲドンというハンマー。鉄でできた棒になんか丸いものがついただけのように感じるけどアレが神器だろう。鑑定してみても神器アルマゲドンと表示されている。
アルマゲドン……。滅びねえ。
「できたようじゃな。ふぉっふぉ。一発でとは才能あふれるのぅ」
ヒュプイストスも笑顔だ。
ローイはヒュプイストスの元に駆け寄ってくる。
「よくやったわい。試験クリアじゃ。お主は神器を造る資格を得たからの。ほれ、これがレシピじゃ」
と、ローイに紙束が手渡された。
ローイは一枚一枚目を通している。ローイはこれから作るんだと思うが……。素材を集めるのは私なんだよな。まぁそういう契約なんだけど……。
でも神器の素材ってオリハルコンとかどこにあるかわからない素材だしやれようもないっていうか……。
「ふぉっふぉっふぉ。お主なら全部作れるぞい。もっとも、性能がいい武器ほど素材も多くなるからのぅ。エンチャントもできるが並大抵のエンチャントだとすぐにはじかれるからエンチャントする素材もいいのを使うことじゃな」
「なかなか厳しいな……。ふむ、決まって全部にオリハルコンは使うのか。オリハルコンはどこで手に入るんですか」
「このダンジョンで採取できるぞい。火の間を100回くらいループしたら採取ができるわい」
……なるほど。
ループしたら採取できる素材も変わっていてループすればするほどいい素材が手に入る仕組みですか……。ここをループするのはちときついものがあるな……。骨が折れる。
「鍛冶系の素材は大方ここで採取できるでの。欲しいものがあるなら何回ループしたらいいか教えてやるぞい」
「助かります」
火の間……か。冷却ポーションをたくさん用意しておかねばなるまい。
あの使い道無かったポーションがオリハルコンを取るためには必要っていうね。ここで使うことになるとは驚いた。
「ふぉっふぉ。さて、ゆくがよい。ワシはまた何か模索するでの」
私たちは洞窟を出る。
ローイは少し笑顔だった。神器を造る楽しさでも感じたのかな……。オリハルコン……。まぁいつか頼まれるだろうけど。あれきつそう。
100回も同じところをループしないといけないってことだしね。省略とかできなさそうだし。
「……ミキ」
「……オリハルコンでしょ」
言いたいことはわかるよ。
「……暇な時でいいから採取してくれないか。チリンとか他の奴らにも神器を造ってやりてえ」
「……本当に暇な時ね。あそこ周回はちょっときついし」
あれずっとやってたらいつか精神がおかしくなりそう。そこまでドMじゃないしね。