ヒュプイストスの試験 ①
《クエスト:ヒュプイストスの試験 を受けますか?》
と、アナウンスが響く。
神器……。それなんか素晴らしい響きだ。
「ほっほっほっ。並みの鍛冶師なら作れぬが腕前が確かなら作れる。ただ、神器はタイミングがちょっとシビアでのぉ……。秒単位で失敗になるぞ」
「秒単位……」
「ワシが教えるレシピ通りやらねば即失敗じゃ。レアリティは関係なくなるからのぅ」
なるほど。つまり失敗は許されない武器……。
鍛冶はレアリティが高いのはミスがなく尚且つレシピよりうまく作れるのがレアリティが高くなると聞いた。
体内時計が正確かどうかで分かれそうだ……。
「この神器を造れたらワシの加護を与えてもいいかの。それじゃあワシは見とるから。この鍛冶場を使って作ってちょ」
と、ヒュプイストスは椅子に座る。隣にはもう一つ椅子があり、ちょいちょいとこちらに招くしぐさをしている。私もそこで見ていろってことですね。
私も座らせてもらう。
「貴方がミキ様ですかい。アルテナ様の言う通り謙虚そうな主神様じゃのぅ」
「そんなことは……」
「本来は魔物の討伐は主神様がでるものじゃないのじゃが、戦うのが好きならば仕方がないかのぅ」
「好き…ってわけじゃないけど楽しんではいますね」
ゲームだしね。
楽しんでやらないとゲームはつまらないでしょう。
「そうかいそうかい。楽しむのはいいことじゃしな。ミキ様が望むのならばここに何回でも来てくださっていいんじゃよ。迷惑じゃなければこのおいぼれの話し相手になってもらいたいんじゃ」
「いいですよ。神域ここにつなげますんで」
「助かるのぅ」
と、ヒュプイストスはローイのほうを向く。
ローイはまだ何もしていなかった。オリハルコン……っていう素材があるしビビるよなぁ。私もオリハルコン見たことないもん。
「……よし、やるか」
と、覚悟を決めたみたいだ。
「ふぉっふぉっふぉ。初めてでどこまでできるかのぅ」
「そうじゃな! ふっふっふ。あのローイとやら楽しみなのじゃ!」
「そうですね。ふふ」
「この部屋暑くない?」
……なんか増えてね?
隣を見ると、アルテナ様、オルテナ様、邪神ちゃんがいた。ええ、なんでいるの。神出鬼没なの?
「ヒュプイストスもすっかり柔らかくなりましたね」
「……まぁ、頑固でいても変わらないしのぅ。アルテナ様たちの先日の一件を聞いてワシも少しは変わらないといけないと感じたんじゃよ」
「……迷惑かけましたね」
「まったく。ひやひやしましたわい。オルテナ様が殺されてもアルテナ様が死んでも困るのはワシら配下の神とか天使。少しは自覚を持ってほしいのですじゃ」
「はい……」
「すびばぜん……」
アルテナ様とオルテナ様がしょんぼりしている……。
「ミキ! 遊ぶのじゃ! 妾はなかなかミキに会えなくて寂しかったぞ!」
「はいはい。遊びましょうね」
「なにをするのじゃ? 鬼ごっこ? かくれんぼ?」
「セレクトが子供じゃん……」
懐かしいなぁ。
「私も参加していい? カーリ」
「構わぬ! 多いほうが楽しいしの!」
《クエスト:邪神ちゃんと遊ぼう を受けますか?》
あ、クエストなんですね。