鍛冶神のダンジョン ③
ループしていた……。
まず初見じゃ攻略は無理だってことだ。二階層をループしていたと考えるとちょっと怖くなってくるし怒りも沸いてくる。
無駄に疲れただけじゃん! って思っているのは秘密。
「……仕組みがわかんないなら攻略しようもねえぞ」
そうだよなぁ。仕組みがわかんない限りボスまでは行けなさそうだ……。
仕組み……。どうやったらボス戦まで行けるんだ? このダンジョン、何か条件があるのかもしれない。今まで条件付きのダンジョンは聞いたことがないけど……。
鍛冶師しかいけないとなると難易度がほぼ無理ゲーに近いし、一体鍛冶師を入れる……っていうほうが無難かもしれない。
「ちょっとローイ連れてくる」
私が世界を探索するというときに基本的カティやローイなどの生産系の人は連れていかない。結構難しいところが多いし言っては何だけれど足手まといになりそうなことが多いから。
だけどこれは連れてくる必要があって。
「何気にミキとは初めてパーティを組むな」
「そうだね」
ローイ自身も討伐に行くのは珍しいことじゃない、が、ローイは場所を選んで手段を作ってから行く。生産系というのは戦闘系のスキルを一切覚えられないために戦闘となると基本的に自分のプレイヤースキルが求められるから戦闘向きではない。
ようするにあれだ。自動で出してくれるか、手動でださなくちゃならない、とか。防御系のスキルもないためにダメージを受けながら……っていうのも難しい。
「ここが鍛冶神のダンジョンねぇ……」
「一人鍛冶師がいれば突破できるかもしれないから。介護は任せて」
「任せた」
ローイも弱くはない、が、正直ここのモンスターと戦うのは得策じゃない。
「ストレングス。待ってて。もし三階にいけたら報告するよ」
「わかった。ボスを倒せるなら倒してもいいぞ」
「わかった」
そして、洞窟の中に入りこむ。
やはり、今の地下二階にはマグマがない。だがしかし、ループしていたダンジョンだから、降りていくにつれてギミックは変わるが階層は変わらない。
「ローイ、こっち」
と、ローイを連れていく。
階段まで言って降りると……変化はなかった。あれ、違うのか?
「お、すげえな。鉄鉱石とかヘビーメタル、レアメタルが結構落ちてるぞ。素材が上手いな」
ローイは採取に勤しんでいた。
鍛冶師を連れてくることじゃない……? どうしたらギミックは変わるんだ?
「鍛冶系のスキルを使うのか……?」
私は採取中のローイに声をかけた。
「スキルか? 鍛冶となるとどこをうてばいいかわかるようになるスキルの”火の打ち所”とかがあるが」
「それ使ってみて!」
「ここで使っても意味はないと思うが……」
ローイは渋々受けてくれる。
すると、顔色が変わった。
「……この壁、壊せるぞ」
と、階段横の壁。こんこんと叩いている。もしかして進み方はこのスキルを使うのか? というか、鍛冶のスキルを使いながら進んでいくのか……。
鍛冶師は必須じゃないけれど鍛冶のスキルは必須というわけかな?
私はその壁に魔法を放つと、階段があらわになる。
「よし、進むか」
私たちは先へ進んでいく。