ストレングスさんの頼み事
ドロシーは鼻歌を歌いながら畑を耕している。
随分と楽しそうで何より。クエストも今はないし特にこれと言ってやることはないかなー。というか、クロックさんから天空トマトと地底じゃがいもの種をもらったけど……。これで育つのかな?
「ベルゼブブの大好物だから育てて食べさせてやってほしい……か」
まずベルゼブブとクロックの関係ってなんだ? 親友って感じかな?
「いい肥料もあって豊作の予感がするべっ!」
「方言!?」
「いい種だべさぁ。んだらこれ植えっからミキ様牛舎のほうで搾乳お願いするだ」
「わ、わかったよ……」
農業になると方言が出るんだ……。
私はとりあえず牛舎のほうに向かう。と、なんか金色に光るものが落ちていた。なんだこれ? と思い拾い上げて、鑑定してみる。
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牛の金の糞
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投げた。
糞なのあれ!? なんで金のうんこだしてるんだよ! 嫌だよ牛が金色の糞なの!? 素手で拾い上げちゃったじゃん! ばっちい! 手洗いたい!
「……ところどころ落ちてるな金の糞」
茶色い糞の中に金色が見える。
……うげえ。牛舎掃除はしなくていいと聞いたけど……やっぱダメ。金の糞は普通に採取できるアイテムなのかよ……。
と、とりあえず牛乳……。
「おいーっす、暇かー?」
「ん、ストレングスさん?」
「勝手に入ってきたが大丈夫だったか?」
「はい。まぁ」
ストレングスさんが牛舎の扉に寄りかかっている。
私のこの農園はフレンドなら出入り自由にしてるし何の問題はないけど。でもストレングスさんが来たってことはまたなんかあるの?
「頼みごとがあるんだが」
「はい」
私は採取する手を止める。
「あ、いいぞ。採取したままで。大したお願いじゃねえからよ」
「あ、はい」
といわれたので牛乳を採取し続ける。
たまに極上牛乳という牛乳の美味いバージョンが出るのでちょっと嬉しい。贅沢にクリームシチューにしたら本当においしかったです。まる。
「ローイいるだろ? 俺らとも取引させてほしいんだ」
「取引?」
「ああ。そちら側の有利な条件でいいからパワフルにも武器を下ろしてくれないかっていう話だ」
「いいですよ」
「本当か?」
「ローイさんと相談して値段を決めてください。作るのはローイさんなんで」
「ありがとな!」
最近武器も注文してないしローイさんも結構討伐に出ている話は聞く。
ここらでドカンとデカい武器を作ってもらえたらなー……。たとえば神器級とか? そんなのあるかはわからないけど……。
「あとそうだ。ミキよ、俺と二人でダンジョン攻略するつもりねえか?」
「ダンジョン攻略?」
「ああ。俺だけが見つけて秘密にしてるんだが、鍛冶神のダンジョンってやつがあってだな。そこに行きたいんだがちと厳しくてよ。二人しか入れないくせに敵も強いんだこれが。一緒にやってくれないか?」
「わかった。いいよ」
「NPC仲間も連れていけないところだから一人で準備して来いよ! 第八層の妖精広場で待ち合わせな!」
うきうきで帰っていくストレングスさん。
ダンジョンか……。結構厳しいって聞くし結構な重装備で行く必要があるかもな。
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