神が望むユートピア ⑤
オルテナ様は多分間違え続けてきたんだと思う。
最初から間違っていたけれど、誰も指摘してくれず、これでいいんだと思い込んだ。だがしかし、アルテナ様が来てしまって、間違えたと認識したけれど、自分が正しいんだって思いたくて……。
……まぁ、アルテナ様にも非があるといえばあるんじゃないだろうか。
「……来ましたか」
アルテナ様は冷たく睨んでくる。
オルテナ様の体がこわばった。
「アルテナ様。オルテナ様を許してはくれませんか」
「……なぜですか?」
「この件については、多少なりともアルテナ様が監視していれば免れたかもしれなかったんです。オルテナ様だけじゃないと思います」
「……私にも原因があると?」
「はい」
正直言って、私も怖い。
アルテナ様の視線が、その眼孔が。私の心を貫く。
「……たしかに、そうですね。私のせいでもあります」
アルテナ様は睨むのをやめてため息をつく。
「オルテナ。人に言いたいことがあるなら自分でいいなさい。人に言わせてどうするのですか」
「お、お姉ざまぁぁぁぁぁぁ!」
泣きながら、アルテナ様の懐に飛び込んでいく。
オルテナ様はアルテナ様のことが大好きなんだろう。だけど、怖かった。身内だからこそ怖かったのかもしれないし、オルテナもアルテナ様を頼らずにやりたかったんだろう。
だけど、間違えた。そして、間違い続けて間違いに気づいても引き返すことはできなかった。ただそれだけの話なんだろうけど……。
っていうか、アルテナ様。妙に話わかりイイですね。
「私も冷静に考えてみました。たしかに私もお節介を焼いたほうがよかったかもしれないと反省をしております」
「……はぁ」
「私はですね、ミキ様。決意したことはすぐにやらないとやる気がなくなるんですよ」
「……なるほど」
私という邪魔が入ったからこそ殺すのをやめた。
アルテナ様も本当は殺したくはなかったのかもしれない。
「ごべんなざい! お姉さまが来た時に間違えたと思ったけど、わだじのプライドがみとめなかっただけなの! 謝ってればこんな怖い思いじなぐでよがっだのに!」
「私もオルテナのことだから大丈夫だろうとタカをくくってたのがまずかったんです。ごめんなさいね」
仲直り完了、かなぁ。
案外こじれてなくてよかったと思うし、オルテナ様も素直な性格でよかったと思うけど……。どっと疲れた。派手な姉妹喧嘩だよったく……。
「プライドだけはいっちょ前なんですから……。もぅ」
まぁ、アルテナ様以外が来たら多分戦闘になってたんじゃないかな……。アルテナ様が来たから間違いに気づけたんだと思う。そこらへんは賢いんだけど……。
「とりあえず、この世界は私が管理します。しばらく私の世界を見て勉強しなさい」
「お姉さまあああああ!」
まぁ、これにて一件落着……なのかなぁ。
まぁ、この結末には本当は分岐点がありますね。
仲直りエンド
オルテナが死ぬエンド
アルテナが死ぬエンド
ミキがあそこで話をしたいと言い出さなかったらどちらかが死ぬエンド直行でした。
アルテナが死んだらオルテナが悲しんで自殺し、邪神ちゃんが次の創造神となるエンド
オルテナが死んだらアルテナがふさぎ込んで閉じこもってしまい新たなクエスト発生エンドでした。
まあもう二つのエンドは書くつもりないんでここに。
仲直りが一番のハッピーエンドです。