反対の世界
オズと一緒に探しているけれど一向に見つかる気配がない。
本当にあるんだろうか? と、疑わしくなってくる。私結構見つける方だから今回もすんなり見つけられるとは思ったけどそんな上手くはいかないか。
ワノ国に降りて一度休憩することにした。
甘味処と書かれている場所に行き、団子を注文する。
私としてはあんこもいいけどみたらし団子が一番好きかなー。あの醤油ダレ滅茶苦茶うまいのよ。もちっとした団子にあのあまじょっぱいタレが絡みついた団子は超好み。
「さぁ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 壺はいかがかね?」
目の前で風呂敷を開け商売する人がでてきた。
団子を食べつつその様子を眺めているとこちらの様子に気づいたらしい。こちらに壺を持ち近寄ってくる。
「そこの団子を食べているお嬢さん方! この壺いかがです? とりあえず安くしておきますよ!」
「いや、間に合ってるんで……」
「そんなこと言わずに! どうですか!」
と、ぐいぐい攻めてくる。
いや、うん、断りづらい……。押しに弱いの私……。どうせ大した金額じゃないしずっとイベントリにでもしまっておこうかな。
「わかったよ買うよ。いくら?」
「お安くして3000ゴールドかな!」
「ならいいや。買う」
私は謎の壺を購入した。
その時だった。
「で、では! さよならっ!」
男は慌ただしく逃げていく。
そして、壺が勝手に動き出した。え、なになに? 何が始まるの!?
壺は私たちのほうに口を向ける。そして、私たちは壺の中に吸い込まれていった。
きゅぽん。と、心地よい音を立てて、壺はどこかへとワープしていったのだった。
《イベントクエスト:壺の中のディストピア を開始します》
ここはどこだろう。
目が覚めると草原に私はいた。壺の中に吸い込まれたはずなんだけど……。ここは壺の中ということだろうか。
隣にはオズが寝ている。二人だけでこの壺の中に入れさせられた、と考えるべきだろうけど……。あのアナウンスが気になる。
「ディストピア……」
ディストピアはユートピア、つまり理想郷の反対で、人としての尊厳が否定される世界。統制は取れているけれど。
理想の真反対だと思えばいい。
「ステータスに特に変わりはない。使用不可能のスキルもない。このまま壺の中に放り出されてしまったというわけかな」
持ち物などを一通り確認してみて特に変わったところはないようだった。
「うぅーん……」
オズが目を覚ます。
「ここはどこだ?」
「わからない。とりあえず、街でも探す?」
「そうだな。話を聞いてみないとわからないからな。聞いてみるとしよう」
オズは空を飛ぶ。
私も空を飛び、街を探しに向かった。