金を使うところ
ドリィは懲りたのだろうか。
懲りてないにせよ大半のプレイヤーから恨まれることになったのは事実かもしれない。タダ乗っかった人ものっかった人で……。
まぁそれはいいとしよう。
後日王から褒章を与えられた。五百万ほど。
この五百万はとっておくけれど、ひとつ気になることがあった。アプデで所持金を使うところが追加されたって聞いた。私はまだそれを発見していない。
どこにあるのかもわかっていない。それを探してみるか?
「とはいっても何のヒントもないもんなぁ」
「トマトさ~ん。大きくなってくださいねぇ」
ドロシーはトマトに水を上げている。
ドロシーは農業の心得・極があるらしく農業を任せることにした。本人も若干嬉しそうだった。何を育てるかは聞かれ、トマトととうもろこしと答えた。
楽勝だって言われたので任せることにした。
「牛舎もあって肥料は牛糞ですね! ただで肥料が手に入るのはいいですね!」
「ああ、うん。牛乳もほしかったらとって飲んでいいよ」
「本当ですか!? ならたまに飲まさせてもらいますね!」
そういえばドロシーと会ったところ農園だったもんな……。本の中だけど。
ニンジンが見事に育っていたしドロシー自身に農業の心得があるのは何の不思議でもないか。まあそれはいいとして私はあの所持金を使うところを見つけなくてはならない。
それに、多分そこにいくことに何か意味があるのかと思う。
たとえば経験値稼ぎ。
あれだ。ポケ〇ンのサファリパークみたいな感じかな多分。お金は必要だけれどデスペナなしで生き返れるところ。なら私にとっては無意味だよな。黄泉返りのスキルでデスペナがないので気にする必要ないし。ただそこの経験値が美味しいなら話は別だけれど。
「よし、ドロシーいくよ!」
「え、どこに?」
「魔物を倒しに!」
「え、いや、私戦えないんですけど!」
「オズと代わって!」
「呼んだか?」
行動早いな。
オズになると身長も胸も声も何もかも代わるんだ。別人格とはまた違ったものなのかもしれない。まるで二人が統合されたような……。
まあ気にしたら負けだ。
「オズ。いまから冒険に行こう」
「冒険?」
「うん。とりあえず見つけたいものがあるからさ」
「わかった。お供しよう」
「空飛べる?」
「愚問だな。賢者である私が飛べないわけがない」
飛べるんだ。
私は飛行スキルを使用する。空へ舞い上がる。
理想郷あたりでも探してみるか。理想郷にもしかしたらあるのかもしれないという希望をもって。まずは黄泉……は遠慮して。ジパングかな? 一番近い理想郷は。