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Another Arcadia Online  作者: 鳩胸 ぽっぽ
第八層エリア 【優美なる妖精】
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戦争の終わり

 この戦争を起こすことを決意した理由はたぶん勇者にもある。

 勇者が弱いから引き起こしたんだろう。みんなバカではないと思うしなぜこの国が弱いのかはすぐに分かったと思う。

 この国の防衛の要は良くも悪くも勇者頼みだ。勇者が強くないから王が狙われた。


 だからこそ、決意した。


 勇者なんて誰も強くできない。そう思っていたんだろう。

 けれど、違った。私が知ってしまったことにより勇者はアルテナ様に鍛え上げられてチート級の強さを手に入れてしまった。

 計算違いはそこであり、それが彼らを苦しめる大きな要因でもあった。


 「今こそ集え兵たちよ! ”超絶強化オーバーアップ”」


 王たちの軍勢におよそ3倍のバフがかけられた。

 勇者だけが戦っているわけじゃないし、王たちの味方にもプレイヤーがいたりする。私もそのうちの一人だ。あの男の子、サポーターをメインにしたのか。一年前までは前線を張ってたくせに。


 「兵士共が厄介だ!」

 「いてえ! こいつの攻撃まじでいてえ!」


 勇者はチートだった。

 そのことを改めて思わされた戦争でもあった。戦争……ではなく蹂躙とでも行ったほうが正しいのかもしれない。

 トッププレイヤーが敵側に参加していないので戦力差もものすごく空いてしまっている。トッププレイヤーは王に興味はないのかもしれない。


 「今書かれている戦争実況スレでもすごい書かれようだな」


 事の主犯は”ドリィ”という名前のプレイヤー。

 中堅プレイヤーであり”夢掘る鉄削機”というギルドのマスター。トッププレイヤーである”すーも”との親交が深い……。

 もはや晒されているし、ぼろくそ書かれている。


 無謀すぎワロタとか……。可哀想だしフォローしてあげよ。


 「私始まる前まで知らなかった……と」


 そう書くと”ミキを欺くとかスゲー””隠し事の腕前だけは褒められる”とか書かれていた。

 褒められているのかはどうかわからない。


 「ドリィさんも私に気づかれてない前提でやっちゃったからこうなったんだけど……。考えるならきちんと最悪の状況にも考えなくちゃね」


 私はそうつぶやいた。

 

 「撤退だ! 分が悪い!」

 「逃がすとでも?」


 私は約束の地を使い退路を塞ぐ。デカい壁が出来上がった。土がせりあがっただけなんだけど。町も少し壊してしまっているけれど帰すわけにはいかないからあとで謝ります。

 私は地上に降りる。


 「そっちから仕掛けておいて簡単に帰すわけがないでしょ」

 「ミキ様ナイス! 王を殺そうとした罪を償ってもらう。首謀者は誰だ」


 ユウキがそう尋ねる。

 と、プレイヤーが一斉に金髪の男の人に視線を向ける。向けられた男の人は焦っていた。殺される恐怖でも味わっているのかもしれない。

 ただ、やらかしてそのままってわけにもいかないからね。オシオキは必要だよ。


 「申し開きはある?」

 「あ、い、いや、俺はただ……!」

 「ただ?」

 「し、しし、死ね!」


 と、無様にも真正面から切りかかろうとした。

 ユウキはため息をつき、そして。


 一閃。


 ドリィだと思われる人物はポリゴンと化し消えていく。


 「戦争は終わり。王を殺すのならばそれなりの強さを持ってきて。私たちが相手になるよ」


 戦争が、終わった。

 呆気なく終わったのは計画がダメだっただけ。穴がありすぎたんだ。最悪最低なことをまるっきり考えない辺り作戦を考えるのには向いてないんだと思う。










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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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