戦争が起き…
この戦争の仕掛け人。
もしかしたらという予測が立った。というか、正しかった。
「ミキ。私たちからの挑戦状だよ」
と、書類が投げられる。
そこにはギルド精霊の守護者vs国と書かれていた。この戦争の先導者はチリン。私への挑戦だということらしい。
……なーるほどねぇ。
「挑戦か……。わかったよ」
「それでこそミキ! 私も本気で行くからミキも本気でね」
どうやら相手は精霊の守護者だけ。
私は一人で相手するらしい。ただソゥ様、マーヤ、マシュマロは抜けている。さすがにソゥ様連れてこられたら負ける。殴れやしないから。
その点を配慮したんだろう。
「ただ、チリン。忘れてほしくないのは、国相手にしたことでチート相手が三人増えるからね?」
「……は?」
瞬間、私の横を通り過ぎたのは勇者イヅル。
チリンの首元にナイフを突き当てている。こっちも戦争に向けて何もしてないわけじゃない。みっちりと鍛えてもらった。そのおかげかチート級の強さを持っている。
私でも苦戦した。言っちゃ悪いけどチリンになんとかできると思わない。
「……降参するなら今だよ」
「……ねえ、降参していい?」
みんながずっこけた。
チリンは正座していた。
「だってぇ……。まさか勇者があんな鍛えられてると思わなかったもん」
「バカでしょ。私がすぐにこの国の問題点を気づくってこと予測してなかったの?」
この国には強い奴がいなかった。
だからこそ簡単だ、と言われていたけれど。チート級の強さを持つ勇者が出来上がってしまった。なので難易度は格段に上がっただろう。
チリン達もすぐにお手上げだった。
「私への挑戦状ならもっと別のことにしなよ。ストレングスさんから誰かが戦争を起こすって聞いたからアルテナ様に頼んで鍛えてもらってたんだよ。計画がぬかりすぎ」
べらべらと説教を垂れてるとソゥ様とマーヤがログインする。
そして、私たちを見て固まっていた。
「なにかあったの?」
「ちょいとした問題事です」
二人に説明すると。
ソゥ様は苦笑いを浮かべ、マーヤはため息を吐いていた。二人とも戦争のことは知らなかったみたいだ。もしかしたら裏でつながってるかと思ってたけど……。
いや、ソゥ様ならまだしもマーヤは知ってるもんだと思ってた。
「かっこわる」
「うぐっ……」
「まぁたしかにミキちゃん並みの人たちが出ていたら勝てないよね」
「私はぎり勝ってるからねあの三人に」
「個別で?」
「まとめて相手して」
「「「「「「「………………」」」」」」」
みんなが黙ってしまった。
ったく。だけどまぁ、戦争は回避……。
…………ん?
「ねえ、戦争を起こすーだとか外で言った?」
「いや、言ってないけど。みんなは?」
みんな首を横に振る。
だとするとおかしいぞ。
「話してるときに来客とか来てたりした?」
「いや、来客来たらNPCが呼ぶってことはわかってるだろうけど誰も呼びに来なかったよ」
……おかしい。
ならなんで。なんでストレングスさんは……戦争が起きることを知っていた?