戦争が始まりそう……?
結果だけかいつまんで報告すると。
勝った。ただ、圧勝とは言えない。体力も少し削られているし、なにより滅茶苦茶苦戦した。鬼……っていうほどでもないけれど鬼とは十分互角にやりあえるんではないか?というレベルで。
「あ゛ーっ。よくこんな強くしましたね」
「アルテナ特製ブートキャンプです。ぐいっと能力が上昇しますよ」
「地獄のような鍛錬でしたけど……」
と、男の子たちがいう。
地獄のような鍛錬……。受けたくはないな。
「さてと。ミキ様。冒険者の動向が危うくなっておりますのでお気をつけて戦いくださいね」
「はい」
私は、勇者と共に神域を後にした。
神域は空中にあるので今落下しているわけだけれど。いや、すごいよね。五感で風をきる感覚とかものすごく感じ取れるんだもん。
ひゅーっていう感じ。ゲームじゃなければ怖かったけれどこれはゲームだ。あまり怖くはない。
「ミキ様! 俺たち飛べませんよ!?」
「あ、忘れてた」
このままだと落下死!
そんなことはさせるまい。上昇気流を地面で発生させる。ふわっと、体を持ち上げる風。ゆっくりと地面に着地した。
ここは王城の庭だ。帰ってこれたらしい。
だけれど、安心はできなかった。
「これから戦争があるからなぁ。勇者たちも死なないよう頑張れ」
私もできる限りのことはやる。
まずどれだけこの情報が知れ渡っているのか。王たちに聞いてみることにした。フレンドメッセージを王全員に送ると返答が返ってくる。
『知らなかった……。王を殺すのか?』
『ふむ。さすがに知らなかった』
『知らなかったです……』
『知らなかったわ……。ククク……』
『そうなのですか? 姐さん』
『そうなんですね。知りませんでした』
『そうなの? 情報隠蔽うまいなー』
『知らなかったよ。戦争ね……』
『ふーん。そんなことが起きるんだ』
まあ王たちの返答はこれだった。
王たち全員知っていない。多分ギルドの奴らがグルになって情報を隠しているのかもしれない。王をとにかく関わらせないようにしている。
止められたら厄介だからな。私も私でストレングスさんから聞かされない限り知らなかった。
『日時はわかる?』
『わからない。そこまで情報掴めてねえ』
みんなもロトと同じで戦争が起きる時刻もわからない。
行動を制限するつもりか? 私たちには手遅れになった状態で来てほしいっていう感じだな。デモを起こす気満々じゃないか。
……でもおかしいな。
チリンとか、こういうことに敏感だと思ったんだけど。私のギルドにもグルがいるのだろうか……。いや、ない。
私のギルドにそんな人はいない!
☆ ★ ☆ ★
「算段はできてるね?」
精霊の守護者の一角。
ミキを除くギルドメンバーが集まり話し合いをしていた。
「ミキに知られないように頑張ってきた。もう決戦の時が近い。もうミキに知られてもいいように動くしかない」
「……ほんとにできるの?」
「これは博打だよ。挑戦っていうのかな……。王には興味はないけど、私なりのミキへの挑戦。絶対に勝つ」
「……はぁ。初めてだよ。ミキを敵に回そうとするの……」