おるすばん ②
おるすばんして数日。ゲーム内で数日ということだけれど。
現実で換算するとお昼はすぎているのではないだろうか。まあいい。あともう少しで終わるだろう。ただこの場にいればいいだけの楽なクエストだった。
暇つぶしにも事欠かないしね。
「終わりました」
「早かったですね」
「そうですか?」
アルテナ様が帰ってきたようだ。
そして背後には勇者三人がいた。え、連れてきたの? 勇者はキョロキョロと辺りを見回している。
「鍛え上げたので模擬戦を頼みます。ミキ様」
「おっけい」
なるほど。
これもクエストか。模擬戦というので私は立ち上がり、構える。ここで戦ってもいいんだろうか。いや、アルテナ様は避難しているしいいんだろう。
勇者たちも武器を構える。
「では、はじめっ!」
その一瞬。
遠くにいたはずの勇者がすでに間合いをつめられていた。はやい! 一瞬でここまで来たのか! そして剣をふるう。神速のような速さ。もちろん剣の素早さもそれと同等なわけで。
「おおっとぉ!?」
あぶねえ! 掠めた!
いったん距離を取り持ち直そうとするけれど、後ろにはイヅルがいた。イヅルはナイフを構えている。そして後ろからまた同じように間合いを詰めてくる。
その速度は神速を超えている。というか、ユウキより早いっての!
「もらったぁ!」
「そう簡単に取らせるか! ”霊体化”」
霊体化する。
ナイフが私の体をすり抜けた。
「なにそれずるい! 物理攻撃当たらないんだけど!」
「なら俺に任せろ! ”ブレイクスキル”」
と、その瞬間霊体化が解かれた。
ブレイクスキルはスキルの効果を無効にする効果でもあるらしい。最初に潰すべきはあの男の子だけれど。この二人の攻撃が面倒だ。
「どりゃあ!」
「そこだ!」
攻撃してきたその瞬間魔法を放つ。
ユウキは防御に切り替えたのか剣でガードしていた。
「私もいるってことを忘れないでね?」
と、イヅルは後ろから私をホールドしている。
首を絞められていた。なるほど。かしこい。力も私よりはあるのだろう。まったくもって外せない。なのでここは諦めて……。
「どりゃあ!」
「”約束の地”」
約束の地を発動。
私の地面を陥没させわざとスっ転ぶ。瞬間、当たるはずだった剣がイヅルに直撃していた。イヅルは吹っ飛び、気絶している。
やっぱり一撃が重いのもあるのか……。
「ああ! イヅル! ごめん!」
「これで一人撃破!」
頭は使うもんだね。
と、今気づいたけれど先ほどから少しずつダメージが入っている。状態異常でもかかっているのだろうか。
いや、違う。あの男だ。じわじわと削ってるんだなあいつ。
「”回復”」
「なっ……ラスボスは回復厳禁なんだぞ!」
「だれがラスボスだ」
私は男の子めがけて魔法を放つ。
男の子は障壁を張っていた。まぁ、威力をなめないでほしい。これでも私の魔法の威力はぴか一なんだぞ?
「貫通した……? ぐあっ!!」
はい撃破。
「残るは君だけだよユウキちゃん」
「燃える展開だっつーの。やってやろうじゃん」
ユウキは剣を構えた。
ちなみに勇者たちは本来はチート級の強さです。
剣の速度、移動速度は神速を超える。なぜかミキはそれを躱せる。あれ? 光は避けれないんじゃないのか?
まあ種はあります。