王になるには
私が畑で作業していると。
一通のフレンドメッセージが届いている。差出人はストレングスさん。何の用だろう。精進するとかなんとか言っていたような気もするけれど。
『近々戦争が起きる』
とだけ書いてある。
正直意味が分からなかった。戦争ってなんかのイベント?
『イベントじゃねえ。プレイヤー主体の戦争だ!』
プレイヤー主体? そんなのできるのか?
いや、でも、リアルな世界観で、戦争がない……っていうのはおかしい。ただ、プレイヤーはなぜ戦争を起こすんだろうか。
『相手側も馬鹿じゃねえみてえでお前に悟らせないようにしていたらしい』
なるほど。
だから知らなかったわけだ。なかなか隠し事が上手いけれど私がもう知っちゃったからなぁ。止めろとでもいうのだろうか。
戦争ってなると何気にきついんだけど……。
『とりあえず今から向かう! どこにいる?』
「妖精の国の畑。フレンドなら入れるようにしているから……。地図もつけとこ」
そして数分後ストレングスさんがきた。
「よう」
「よーっす」
ストレングスさんは畑を見渡す。
「……今度は農業始めんのかよ」
「うん。なんかいいかなーって思って。で、戦争?」
「ああ」
ストレングスさんはトマトを採取して丸かじりする。あのそれ失敗作……。
「まずっ」
「勝手に食べるからだよ。それ魔法で育てたらそうなったの」
「魔法すげえな……。じゃなくて、戦争な」
ストレングスさんはトマトを全部食って地面に座る。
私も同じく地面に座った。
「ま、戦争って何か自体はわかるだろ」
「うん。まあ」
「あるバカが国相手に本気でやりあおうとしている。この国を潰すのが一番の目的らしいからな」
「へぇ……。結構壮大なこと考えるバカいたんだ」
「そうだ。それでプレイヤーが王を討ち取りプレイヤーの国を作ろうとしている。プレイヤーがルールを決めプレイヤーが……という風にだ。正直悪くなる未来にしか見えねえ」
まぁたしかに。
「プレイヤーが王になるって可能なの?」
「可能だ。他の国にいったプレイヤーが王を実際に殺してみたらしい。すると種族が王になったということだ」
「……もしかして追加された王って……」
王を殺して手に入れるもの……?
王欲しさに王を殺し王になるというわけ……? なるほど。王が追加されたことはわかっていたけれど。まさかこういう王か……。
ほんと運営考えることが恐ろしい。
「その他国? で王になったプレイヤーはどうしたの?」
「もちろんそのままプレイヤーの国にしているぜ。もっとも、肩書だけの王だがな」
「ほへぇ」
他国行けたんだ……。
いや、クエストでも行けたんだから他国の存在はわかっていたけど。アドバンス王国の領地が広すぎてアドバンス王国から抜け出せていないプレイヤーが多いんだけれど。
「他国は大型アプデからだぞ。所属する国も選べるようになったんだ」
「は?」
「ミキのところにもきてねえか? 所属する国を選べって」
「あ、来てる」
運営からのおしらせっていうメールが届いていた。
そして中は所属する国を選べということ。ギルドを組んでいた場合ギルドは解散となるか分解されて支店?って感じのものができるらしい。
それで他国の情報交換をできるということだな。
選べる国は結構ある。
アドバンス王国を始め、他国20か国。領地の大きさとかばらばらだけどそれぞれの国には特化したものがありアドバンス王国は特に特化したものがない。領地が狭いほど何かに特化しているらしい。
まぁ、私はアドバンス王国だけど。
所属する国も選べるようになったのかー……。
「で、ミキどうするよ。戦争」
「どうするって止めるしかないでしょ?」
「言うと思ったぜ。情報はこっちで集めておく。ミキは待ってろ」
「うん」
ストレングスさんは帰っていく。
戦争ね……。血の気が高すぎるっての。
王はみずから掴みとれスタイル