パルフェ侯爵家潜入 ②
こそこそと隠れながらも書斎の前にやってきた。
ゴエモンがハリガネでピッキングをしている。私はその間誰も来ないか周りを眺める。ガチャリという音がして、ドアが開いた。
「いくぞ」
中に入ると、本がたくさん積まれている。
そして、机の上には書類がたくさんあった。領の税金の明細だったりなどなど。仕事はきっちりしているようだな……。
「ふむ、税収も高くなければそれほど民の不満があるわけでもないのになぜスパイなんかをしたんだ」
といいつつゴエモンは机の中を漁る。
すると、一枚の書類が出てきた。
「アドバンス王国……ふむ。これだな」
ゴエモンはその書類を私のほうに投げてきた。
「これはミキがしまっておいてくれ。イベントリ? かなんだか知らねえけどそん中に突っ込んどけ」
「わかった」
まぁたしかに奪われる心配はないからねここに入れておくと。
私はそれをしまい、壁に耳をつける。廊下の声や音を確認するためだ。
声も聞こえない、足音もなし。
「逃げるなら今」
「おう」
私たちは書斎から出て鍵を閉めてその場を後にする。
そして、玄関まで行き、何事もなかったように応接間に戻っていく。
「遅いぞ」
「ま、誠に申し訳ございません」
ゴエモンが平謝り。
アーサーは茶を一気に飲み干した。
「では、これにて失礼する。楽しい会合だった。また機会があれば茶会にでも誘ってくれ」
「わかりました」
そして、私たちはパルフェ侯爵家を後にした。
馬車を壊し、馬を返却する。
この紋章を見られるとまずいからということで焼き払った。でっちあげたものなので調べられるとすぐに足がつく。
なので、早めに帰るしかない。パルフェ侯爵家が気付く前に。
だけれども。そう簡単に終わるわけがない。
「警備兵……?」
突如警備兵が降りてきた。
キョロキョロと辺りを探している。誰を探しているんだろう。
「こりゃバレたな」
「え、早くない?」
「書斎に戻って荒らされたことに気が付いたんだろう。行動が早いとは予想外だぜ」
ゴエモンが頭を掻く。
アーサーは物陰に隠れ警備兵を眺めていると警備兵がこちらを向いた。すると、こちらに向かって走ってくる。
剣をもっているのでやる気満々らしい。
ずらかるか。
「神域!」
神域を開く。
そして、みんなを中に押し詰めた。すると、意外なことにもう追いついたようで私が入る暇もなく神域を閉じる。
いや、すぐそこにいたんだもん。神域こじあけられそうで怖かった。
違うところで開くわけだけど……。
まずいな。いたるところに兵がいる。
この包囲網を巻きながら帰れというのはさすがに鬼畜だな……。どこになにがいるか把握し帰らないといけないなこりゃ。
骨が折れますね。ええ。