熱を出した日 ①
キークエストを終わらせると私はすぐにログアウトをした。
そして翌日。私はゲームにログインすらできずにいる。
「38.9℃……」
風邪をひいてしまった。
みょうな気だるさがあり、頭が重い。起き上がるのも辛いよ……。
今日はお母さんとお父さんは朝からお仕事だし、妹はお友達のところに行ってしまって私一人。珠洲はたぶんゲームしているだろうしどうしよっかなあ……。
「けほっけほっ」
ああ、喉もいたい。
ちょっとだけ寝ていよう……。最近ゲームやりすぎたからかな。ちょっとばかり自重しないとね……。うう、あのボスやりたかったのに私だけできないのかあ……。
次のエリアにいくにはまず倒さないといけないし、チリン達も挑戦しているだろうから私一人が除け者かあ……。寂しいなあ。
……って、ダメダメ。今はゲームのことを考えない。風邪を治そう。
「トイレ……」
私は起き上がり、部屋のドアを開ける。
上手く歩けない……。
ゆ、ゆっくりいこう。
つるっ
「きゃあああああああ!?」
足を滑らせ、階段から転げ落ちてしまった……。
背中を強く打った。痛い。立てない。やば、どうしよ。マジで痛い……。立てそうにないよ……。携帯は家だし、電話は……くっ……こんなことなら……漏らしたほうが、まだ、よかった……。
うぅ……。痛い。
知らない天井だ。
「なに知らない天井だって顔してんのさ。ここあんたの家だからな!?」
「あ、チリン……じゃなくて珠洲。……あれ? リビング?」
「ああ。悲鳴聞こえてきたから何かと思って駆け付けたら廊下に倒れてるんだもん。いやー、ビビった」
そういや結構な叫び声出してたっけ……。
「あ、ありがっ……!」
勢いよく起き上がろうとした瞬間、背中に猛烈な痛みが襲い掛かる。
まだ痛みが残っていたかあ……!
「無理しない。病人は寝てなって。今日は私が看病してあげるからさ」
「あ、ありがとう」
ソファに横になり、チリンは台所に向かっていった。
そういや背中がスースーするし頭に冷たいものが貼ってある。珠洲がやってくれたのか……。ありがたい。今度何か奢ってあげよう。
「美咲ー。卵雑炊がいいかさけ雑炊がいいかきのこ雑炊どれがいい?」
「……きのこ」
「りょうかーいっと。あ、鍋借りるからね」
そうして珠洲は料理をし始めた。
料理は私はできる。ただ、珠洲は……うん。察して。ただ今はわがまま言えないしアレでも食おう…。
「ごめんね。なんか」
「気にしないって! 私だって今年も迷惑かける予定だし!」
「……わかった。夏休みの宿題を教えてあげるよ」
「そこは見せてあげるっていう場面じゃ!?」
「見せたらためにならないでしょ? 教えてあげる」
まあ、夏休みの宿題は毎年のことだから。
ぎりぎりになっては私のところに泣きついてくる。私も渋々教えている。でも、ちょっと楽しいと思ってるんだよね。実際楽しいし。
「くぅ……! 夏休みの宿題なんてなくなりゃいいのに……!」
「休んでないで勉強もしろってことでしょ」
「休日は休む日って書いて休日なんだ! 休まないと休日じゃない!」
「それみんなに適用されてたら日本終わってる」
話していると雑炊の匂いが漂ってきた。
「さて、完成。おあがりよ!」
「ありがと。いただきます」
蓮華ですくい、ふーふーと冷ましてから口に運んだ。
……珍しく美味しいや。
矛盾点を発見しまして直しました