クエストの報酬 ②
埋まっていた書物を手に取る。題名は”分身の術”っていうものだった。
似たようなもので陽炎ってやつがあるけどそれに似たような類だろうか。とりあえず効果を見てみよう。
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分身の術:自分を増やせる(最大三体まで)
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うん? これだけ?
陽炎の上位互換……というか、立派にこれ反則だ。私が合計四人になるってことでしょ? 陽炎だと一撃受けたらだめだけどこれだと私がそのまま増えるってことだから……。
うっへえ!? これマジやばい奴だ!
「それにすんのか?」
「……まあいいか」
餓鬼はものすごく苦労したんだから、これをもらっても別にいいよね?
鬼めっちゃくちゃ苦労するもん。他のお宝も売るとものすごく高そうだけれどお金には困ってないし……。うん。これでいいや。
分身の術を早速取得する。そして、使用してみた。
「うお、ミキが増えた」
「「「やっほー」」」
なんだろう。私が増えたの滅茶苦茶キモイ……。
自分の顔を改めてみるとぶっさいくだな……。これだけで自信無くすけど……。分身するとこの顔見ないといけないのか。考えようだな……。
「どれが本物なんだ?」
「あ、そっか。本物がわからないから被ダメもその分少し少なくなるのか」
このスキルシンプルでいてものすごくやばいスキルだな。
分身の術をひとまず解く。
うん、これまずいわ。私が増えるとなるともう敵なし……? いや、それは自惚れだね。うん。
「そんなちっぽけな書物で満足するたぁ! ミキは欲がねえんだな!」
「そんなことはないけど……」
「どれ、これももってけ泥棒!」
「いや、泥棒はゴエモンでしょ」
「そうだったぜ!」
と、ゴエモンは黄金の宝を渡してくる。
いや、一個だけじゃないの? 一個だけじゃなかったの? 私は返すのもあれだし一応もらっておくけどいいんだろうか。
好感度が関係しているんだろうか。
「ともかく、ありがとよ。ワノ国を救ってくれてよ」
「そんな大袈裟な」
「いや、あの鬼は間違いなく強かった。俺だけだと死んで、この国も潰れていたんだ。大袈裟なんかじゃねえ」
まぁ、そういうものか。
そういう実感はないけどこのクエストで一つの国を救った……ということなんだろうか。だとするとちょっと嬉しいな。
「だからよ、借りもできたわけだ。困ったら呼べよ! 駆けつけてやるぜ。ミキのためならな!」
《ゴエモンが仲間に加わりました》
《コマチが仲間に加わりました》
《保有NPC仲間が15人に達しました》
《特殊クエスト:大団円を開始します》
……特殊クエスト?
っていうか、まって。私の仲間って14人だよ?
天使たち五人でしょ? 英雄はランスロット、アーサー、グィネヴィア。悪魔のベルゼブブ、ファンタジアのハーメルン、アリス、ドロシー。で、新たにコマチ、ゴエモン。
……あ、もしかしてクー・フーリンも入るタイプ?
なら納得。
まぁ、なんでコマチが……っていうこともおいておいて。
……特殊クエスト、ねぇ。
ちなみに餓鬼を説明しておきますと
運営側としては本来レイドボスで出しました。あれ普通一人で戦うものじゃなくて……。
餓鬼をみんなで倒してほしいというものです。ギルドの人数により体力は変化します。もちろんギルド向けのクエストなのでギルドに入っていなくてはこれは受けられなく……。
ゴエモンとコマチは必ず参戦し、二人が死んだ、片方が死んだ、どちらも生存で結末は変わりました。はい。
ようするに、レイドボスをミキちゃん単体でやったんですね。化け物ですね。
なんでミキちゃんみんなで挑むという選択肢なかったの?