鬼の目にも涙 ④
膨れ上がった鬼は、地面に手を突っ込むとちゃぶ台返しのようにひっくり返した。
地面だった物体は私たちに降り注ぐ。岩が、土が、私たちになだれ込む。これはどうしたらいいんですかねえ!? 上昇気流でも助からないし、霊体化とかだとゴエモンたち救えないし!
そうこう悩んでいる間にも地面が真上に迫っている。これじゃ操作しても意味がない。埋まるだけだ。自分の墓穴を自分で掘るか。
「もう考えるのはやめよう!」
私は風魔法を発動。
竜巻というものがあり、それを再現してみると、土は吹き飛んでいった。これでよし。というわけじゃないけれど。
でかい鬼はこちらを睨んでいる。
「ガァァァl!」
鬼は金棒ではなく、その爪で切り裂こうとしてくる。
でかい分躱しづらい。いや、判定がものすごく大きいから当たりかねない。むしろ当たらないほうがちょっと難しいかもしれない。
爪の攻撃を難なくかわし、適当に魔法を食らわせておく。
すると、餓鬼がとつぜん大きくジャンプをした。そして、私たちの頭上めがけて、鬼が降ってくる……! 私たちは避ける。
すると、鬼が土煙を上げて着地した。
地面を見てみると、きっちりとへこんでいる。
うわぁ……。無理ゲー……。まだ体力は半分以上あるっていうのにぃ……。
「ねぇ、これ勝てる?」
「わからねえ。勝負は時の運だぜ。やるしかねえだろうよ!」
「苦戦するのはもしかして私のせい……?」
……否定はできない。
いや、コマチいなくても苦戦はしている。ただ庇わないといけないっていうのがなぁ……。
「ガァァァl!」
鬼は叫び声をあげると同時にまた突っ込んでくる。
お得意の突撃か……と思ったがどうやら様子がおかしい。すると、鬼はその巨体で倒れこんでくるのだった。転ぶ前提で突撃かよ……!
私たちは横に避ける。
すんでのところで避けきれたがこの巨体を躱すのは難しい。
でかい分移動距離が半端ないほどにあるためにスタミナを使う。こりゃまずいなぁ……。どうにかしないといけない。
実際のところ、こちらの消耗が激しい。
厳しい戦いで、勝機は見えない。鬼がここまで厄介だということはなぁ。あの鬼と比べて……とかいってたけれどこっちもこっちで無理ゲーなんですけど……。削れるのはいいがなぁ……。
「ナパーム!」
光の最大級の魔法を放つ。
模倣太陽で攻撃したりなどをしているが、魔法防御が高いのかちまちまとしか削れていない。隙が大きいのは助かるんだけどなぁ……。
「はぁ……はぁ……。タフだ。鬼ってやつはよ……」
「ごめんね……役立ってないね私」
鬼は立ち上がり、そして、膝に手をついて息を切らしていた。どうやらスタミナがつきている。息を切らしているのを見ると……。
「ナパーム!」
すると、ものすごいダメージが入った。
……もしかして、鬼は疲れれば疲れるほど与えられるダメージが大きくなるのか? だとしたら、思う存分暴れさせないといけない。
この仮説が正しいといいが。
「……おーにさん、こちら。ここまでおいで」
と、私は鬼の目の前に立つ。
鬼は気づき、息を切らしながらも爪で攻撃してくるのだった。それを躱し、魔法を当てる。
おお、削る量が大違いだ。結構減ってなかった体力があと少しで体力半分にいきそうなくらいだ。やっぱり疲れさせるといいのか……。
攻略法がわかればやりやすい。
鬼との戦闘ながいなぁ