鬼の目にも涙 ③
鬼は金棒を取りに来たのかどしどしと歩いてくる。
でかい巨体がずんずんと歩いてくるとそれなりに振動があり、転びそうになる。ちょっと浮いてるのは正解かもしれない。
そして、ゴエモンはというと、まだ倒れていた。
「大丈夫?」
「あ、ああ……。この程度の怪我なんともねえぜ……」
だが見るからに痛そう。
胸の辺りを押さえている。私は回復魔法を唱える。すると、体力が回復していった。
「た、助かったぜ。ああいう攻撃してくるとは思わなくてよ。ミキがいなかったら死んでいた。感謝するぜ」
「うん。それより鬼戻ってくるよ」
鬼は金棒を手にしてまた、戻ってくる。
一発一発が重い。受けただけで即死近い。いや、全員防御力が低いからなんだろうけど……。それでも受けるとやばいのは確か。
どうすればいいんだろう……。
「さて、餓鬼! 力比べと行こうぜ?」
と、ゴエモンはハンマーを振り回す。
鬼は立ち止まり、金棒を振り下ろしてきた。ガァン!という金属音を鳴らし、金棒が地面すれすれで止まる。ゴエモンが金棒を食い止めていた。
顔は辛そうだ。いや、辛いんだろう。
「ぐぎぎ……! 重いぜ……!」
「今のうち!」
私は精霊魔法の光を放つ。
鬼に当たると、少しばかりダメージ量が多いような気がした。いや、確実に多い。もしかして弱点属性があるんだろうか。
今まで気にしていなかったけれど、敵にも弱い弱点があり、それを突くとダメージ量があがる。
光属性が弱点……か。
「グォォ……」
鬼はよろけ、頭を押さえる。
そして、頭を振りまた、金棒を振り下ろしてきた……!
「また力比べがしたいってぇのかぁ?! いいぜ! 受けてやる!」
と、金棒が目の前に迫りくる。
だがしかし、攻撃は予想外のところからくるのだった。金棒ではなく、足がゴエモンのほうを向く。それにはゴエモンが対応できないのか、固まっていた。
とっさには無理だ! 鬼賢さもあるのか!
私はとりあえず転ばせようとするが、転ばせてもどちらにせよ当たる位置にいる。それがなによりまずかった。
だから、私は考え方を変える。
「ゴエモン! ごめん!」
ゴエモンの下に深い落とし穴を作り、ゴエモンが落ちていった。
鬼の攻撃はスカし、バランスを崩したのか、手をバタバタとして地面に倒れる。今だ! 私は魔法をとりあえず連射する。
すると、鬼が起き上がる。
「グァァァァァアアアアア!!!!!」
と、突然大きな叫びをあげたかと思うと、鬼は地面に手を突く。
そして、どんどんと肥大化していった。もともと一軒家くらいの大きさだった鬼。肥大化し、ビル三回くらいまでのデカさとなってしまったのだった。
まじか……。どう倒せばいいんだ……?
昨日は1個だけですいません。