鬼の目にも涙 ②
鬼のところに向かう最中に、ゴエモンに話を聞いてみる。
「コマチって戦えるの?」
「戦えなくはねえな……。だが、あまり力にはならないと思うがな」
コマチさんあれですからねえ。
武器がないから多分魔法なんだろうけど……。どうやって戦うんです? それによってはちょっと戦わせたくないんだけど……。
で、コマチさんはというと、花をつみ、うっとりとした目で眺めながらついてきている。華が好きなんだろうか。年相応の女の子っていうか……。いや、高校生の見た目で花が好きか……。私は好きじゃないけど……。どちらかというと花より団子系女子ですからね。
「さァ構えろよ! 鬼の登場だぜ!」
と、ゴエモンが後ろにしょっていたデカいハンマーを手に取る。私も身構えると、突然地響きが聞こえてくる。
そして、何者かの叫び声が聞こえてきたかと思うと、空中からどしんと、鬼が降ってきた。
名前は餓鬼という鬼。
前の鬼とは比較にならないほどステータスが貧弱。いや、私はあの鬼と戦ったからなんだろうけど……。あれと比べるとやっぱり劣るよなぁ。あれが強すぎたもんなぁ……。
だがしかし、油断ならない相手だ。鬼というのは攻撃がクッソ痛いらしいで有名だしね。小鬼はモンスターとして普通に出るからそれから推測しただけだけれど。
「死ぬんじゃねェぞ!」
「うふふ、頑張る」
「不安だ……」
そして、鬼との戦闘が始まった。
鬼は手に持った金棒を大きく振り上げる。
ゴエモンは、ハンマーをぶん回し、餓鬼のすねにぶち当てた。餓鬼はすねに手を当てて悶えている。やはり人間と同じでそこは痛いのか。
弁慶の泣き所……。たしかにぶつけると痛い。
「ガァァァァ!!」
鬼は、勢いよく地面を叩きつけた。
すると、地面が隆起してくる。突然せりあがってきた岩にゴエモンが打ち上げられた。
「がっ……!」
「グァァァァ!!」
と、ゴエモンめがけて鬼が金棒を振り下ろそうとしていた。
私はすかさず約束の地を鬼の地面に発動させ、バランスを崩させる。鬼は後ろにこけ、ゴエモンは落下していく。
すると、コマチがゴエモンを受け止めた。
「ナイスコマチ!」
「サポートくらいしかできないんで……。が、頑張って!」
コマチは可愛く応援してきた。
ここは頑張らないといけないな。
私はこけた鬼に魔法を放つ。
体力が無駄に多い分、あまり削れていないようだった。攻撃面も、耐久力もあるのが鬼の特徴かっ。一番厄介じゃないか?
鬼は起き上がり、そして、思いっきり金棒をぶん投げてきた。
地面すれすれを飛んでくる金棒。狙いは……コマチだ。さっきので多分腹を立てたのかそれとも、コマチを潰せば……。そ、そうはさせない!
私は、コマチを持ち上げる。
人並みの体重があるので飛行スキルがあるとしても力のステータスは普通になったとはいえ重い……!
「重い……」
「……ダイエットしますぅ…」
どうやら機嫌を損ねたみたいだ。
だけど、ここで機嫌取りする余裕は、ないなぁ。