ギルド戦:大将 ②
あと一撃を入れれば半分削ったことになる。
私も体力ぎりぎりにまでしておいた。調整している。これで、回復されたらやばいんだけど……。
「これは勝てるぞ!」
「くらえ!」
一撃を当てる。
「やっと半分削ってやがる! こりゃ勝てるだろ!」
「……これは無理かもしれない」
私は、地面に座り込んだ。
「お? 潔いな。嫌いじゃないぜ。じゃ、死ね」
と、剣で貫かれるのだった。
《不俱戴天を使用しますか?》
とアナウンスが響いて、使用すると答える。
すると、私の体力が回復していった。そして、それと同時に……。
「な、なんでいきなり体力がっ……! な、なんで立っている! 死んだろ! あんたぁ!」
といって、ストレングスさんは消えていった。
まぁ、これが一番楽だった。油断しているやつだからよかったけど、ポーション使われてたらまずかったな。不俱戴天の効果がなくなっちゃうし……。
ま、なんにせよ、勝ち。
「三戦三勝。私の勝ち」
そして、ギルド戦は幕を閉じた。
ギルド戦会場から転移し、パワフルのギルドに戻る。
トロフィは腕組みしながらこちらを見ていた。ストレングスさんは何やら悔しそうにしている。
「なぜだ! なぜ死ななかった! HPをゼロにしただろうが!」
「スキルだよ。死亡後に発動するスキル。体力を半分削った時点で私の勝ちだったんだよ」
「はぁ!?」
「ポーション使っておけばまずよかったんじゃねえの」
「使わせないためにあえて削られたの。性格上勝てると踏んだらポーションは使わない人だと見たし」
「よく見抜けたな」
トロフィが感心したように息を漏らす。
まぁ、似たような人が昔いたからなんとなくその人を参考にしただけだけど。
「ストレングス。手のひらで転がされてたな」
「くっそぅ……。覚えてろ! いつかリベンジしてやるからな!」
「……わかったよ。でも、約束だからあのホームは返してね?」
「ああ。それを破るほど馬鹿じゃねえし、そもそも奪ったのはうちの部下の独断だからな……。ったく、精霊の守護者に目をつけられるようなことすんじゃねえっつの」
と、ストレングスは頭を掻いていた。
「部下の独断?」
「ああ。最近加入したやつなんだけどな。あの受付の奴だ。お前が先峰で闘ったやつでもあるな。前は人間の王国だかなんだかのギルドにいたって言っててよ。まあ使えそうだと思って入れたはいいが……」
受付の人だけがあのギルドの……。
ということはストレングスさんってほぼほぼ無関係? なんか悪いことした気分だ。ストレングスさんも勝つ気持ちではやってただろうけど内心焦っていたんじゃないだろうか。
ならこっちのいざこざに巻き込んで申し訳ないっていうか……。
「なんか巻き込んですいません。私はてっきりこのギルド自体が……」
「うちだって冗談抜きで中堅辺りのギルドだぜ? ギルドホーム如き奪うわけないだろ」
「そう言われてみれば……」
「それに、分割ギルドにするほどの人数もいねえしな。まぁ疑う気持ちはわからなくねえが」
なんかいい人だな……。
ストレングスさんってあれだ。口で悪く言いながらもお節介を焼くタイプだ。ママンタイプ。
「ストレングスさんってよく周りからママさんって呼ばれない?」
「な、なんで知ってんだよ!?」
「そこまで見抜くとかすごいな」
マジで呼ばれてるんだ……。
現実世界でのストレングス
ス「おいおいこんな散らかすなよ。ったく、親の顔が見てみたいもんだなぁ?」
といいながらもテキパキ片づけている。
ス「料理もできねえの? ったく。少しは覚えろよ」
といいながら料理を作るタイプ。
最初は感じ悪いと思われるけど行動を見られてママさんだと思われているタイプ