ギルド戦:大将 ①
知っている人ってトロフィだったか……。なぜ知り合いになっているんだろうと思ったけれど他人の交友関係に口を出したらいけないよね。
「……俺降りていいか。勝てる気しないんだが」
「そう言わず!」
「無理だろこれ。なんで自分から負け戦しなくちゃいけないんだ……」
トロフィは嫌そうな顔をしている。
私とは基本的に戦いたくないらしい。まぁ、私も基本的に戦いたくはないけど……。王ってみんな強いしどういう風に進化を遂げてるかわからないから怖い。
種族でしかとれないものがあり、それは大体把握しているけど、王の情報はまるでないからなぁ。
どういう風な攻撃をするかはわからない。
「やる?」
「いや、パス。勝てる気しない。無駄に負ける数を作りたくないしな。すまん。降りる」
「……ちっ」
中堅は不戦勝ということでいいんだろうか。
というわけで、大将戦となった。
大将のギルドマスター。名前はストレングスというらしい。タロットカードで力っていう意味だったっけか。
見たところものすごくがちがちな防御だった。
「魔法耐性がずば抜けている装備だ。精霊魔法なんてたいして効かないさ」
「そう?」
となると、物理しかないわけだけど。
魔法しか攻撃手段がないんだよなぁ。先峰でやっていたようなことをしてもいいけれど……まぁ、勝負を長引かせるのもあれだし、あれを使うか。
とりあえず半分削ってしまえばいい。そう考えると楽だ。
《勝負、開始!》
すると、相手が一気に間合いを詰めてくる。
縮地……! 縮地スキルを使ったのか! やばいな。結構強そうだ。剣を危うく躱す。正直油断してた。まずいな。慢心しているような気がする。
ダメだ。慢心はだめ。
「精霊魔法!」
与えてみてもダメージ量は本当に少なかった。
「90%軽減でもここまで持ってくのかよ……」
「結構軽減するねそれ」
「手に入れるのに苦労したんだぜこれ」
90%軽減か。
何気に有能防具だ。魔法攻撃の削りがあまりよくはないけれど……半分まででいいのが楽だ。相手がポーションとか使わなければいいんだけどね。
「死亡後に使用可能だから……。使われる心配もないけど」
そういって私は魔法を当てる。
あまり削れないか。
「ミキは物理攻撃に弱いんだもんなぁ! これは勝てる! ここまで軽減するなら余裕だろ!!」
「そうだね。結構めんどくさいね……」
ここはわざとくらって油断させるのもありか。
背水の陣。ぎりぎりまで耐えるか。満タン状態だと体力を回復される恐れがある……。いや、確認でもしてみるか。
「ねえ、ストレングスさん。ポーションって何本持ってる?」
「ポーションか? 五本だな」
「ありがと」
五本か。
使わせないようにしないといけない。アイテム使用を不可能にする技はもっていない。だからポーションを使わせず、尚且つHPを半分にして倒してもらわなくちゃならないのか。
結構難易度あるな。
「この削りだと大丈夫だろ! がら空きだぜ!」
と、攻撃を受ける。
HPが結構持っていかれた。結構というには語弊があるかもしれないけど、何気に攻撃力も高いらしい。厄介だね。
……さて、ぎりぎりで耐えなくっちゃあなぁ。辛いなぁ……。