宝箱を開けた先にあったものは
宝箱を開封してみた。
中には巻物が二個入っている。プレイヤー分しか出ないんだなこれ。と思いつつ一つ手に取ることにした。
「お、攻撃力上昇か。素直に嬉しい奴だ」
どういうスキルか力が来るかわからない。
こうわからないのはドキドキするよね。いざ、開封……。
巻物を開くと、アナウンスが聞こえる。
《特殊エリアにいける通行券を獲得しました》
……なんだ。
え、スキルじゃないの? 特殊エリアに行ける通行券? そういうのあるの!? というか、なにこの巻物。よくみるとなんか地図っていうか……。あれ。宝の地図みたいな感じの。
えぇ……。いや、これ以上スキル貰ってもたしかに使わなさそうだけど……。これもこれでやばくないですかねぇ。私が言うのもなんだけど、運営さん大丈夫?
鑑定してみる。
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特殊エリア通行券(常世)
稀にダンジョン宝箱から獲得できる。
―――――――――
……なるほど。
隠しエリアの素材でしか作れない武器があり、どうやってわからせるかというとこの地図というわけか。
それにしても常世って理想郷だと思ったけど……。死者がいくところだと思うんだけど……。幽霊、いるんだろうなぁ。死んだばあちゃんもいるのかなぁ……。
ってそうじゃない。
いや、その話題だけど!
「ミキは何だった?」
「……常世への通行券」
「……なにそれ」
「特殊エリア? 常世に行けるっていう……多分理想郷だと思うところに……」
「……ミキさ、理想郷探知するの大得意だよね」
「……犬も歩けば棒に当たるっていうか」
偶然なんだよ。ジパングとかもカナアンも……。本当に偶然なんだよぅ……。
ギルドホームに戻り通行券を眺めてみる。
いや、うん。正直嬉しくはない。驚きのほうが多いよ。だけどいかないわけにはいかないよなぁ。だからいくけどさ。
常世は第八層エリアにある……。つまり、第八層エリアの理想郷はわかり、私はすでにいける状態となっている。隠しエリアではなく特殊エリアとなっているのは理想郷だから…だろう。
死者が妖精となる……というのはこの国でよく伝わる都市伝説らしいしそれ繋がりだと思う。図書館の文献にもそう書かれていたしね。
うすうす第八層エリアの理想郷は常世だとは思っていたけどさ。
「正直気乗りしないんだよなぁ。幽霊……」
常世とは死者がいく国だ。
つまり幽霊がいるということ。嫌いだし行きたくないけど理想郷だから行かないわけにもいかない。うぐぐ……。
幽霊は本当に嫌いだ。
幽霊は外国の奴が一番嫌い。
日本の幽霊って大抵足ないしわかりやすい。けど外国は足があるから普通の人に変装していたらまずわかりそうにないんだよね。
日本での葬式は火葬だから足も焼かれ足がなくなるといわれていて、外国は土葬が多いから足がくっきり残っているらしい。
ガセネタかどうかはわからないけどそういう情報があるのは確かなんだよね。
幽霊コワイ……。
「……誰かに譲ろう」
私じゃいけません。怖いです。