チリンを防衛せよ ②
下半身は馬、上半身は人間のケンタウロスは槍を構えてこちらを睨む。
レベルは120。余裕でしょう。私が構えるとケンタウロスはぶるぶる震えていた。そして、槍を投げ出して土下座をしている。まるで許しを乞うているかのように。
……あれ?
「……襲って、こない?」
私が近づいてみるとがくがくぶるぶる震えていた。
うん? え、なんで。なんでこんな怯えているの? 恐慌状態にするスキルなんて私持ってないしな。なんでこういう風に……。
……ん?
私は自分のステータスを確認する。
称号欄を開いてある称号を鑑定した。
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ラスボス:人型の魔物を有無を言わず戦闘不能にする。(例外あり)
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……これのせいじゃないか。
要するに人型のモンスターとは戦えないということか。ほほーん……。
「ラスボス、ねえ……」
人型限定ということは人の知能を持ち得るモンスターは私を恐れるということでいいのだろうか。ラスボスの気迫というものを感じて……。
なんだこの称号は。お姉ちゃんちょっと悲しいよ。
「えっと、ケンタウロス。逃げて、いいよ?」
というと一目散に逃げだした。
……はぁ。逃げられるというのはなぁ。獣系やロボット系とは戦えるからまだいいけどさ。なんで私にラスボス称号を与えたんだ。たしかにラスボスっていえるかもしれないけど。っていうか確実に言えるけど……。
「……戦いませんでしたね」
「そうだね……。気を取り直して送っていくよ」
「ありがとうございます!」
森の外に出る。
妖精の国の花畑が一面に広がっていた。
「ありがとうございます! あの、今度お礼をさせて下さい!」
「いや、いいよ。私が勝手にやったことだし」
「いえ! ここは男としての矜持があります! 気が済まないんですよ! フレンド登録しましょう!」
まあ、そこまでいうなら仕方ないか。
私たちはフレンド登録をする。名前は……〆サバ…ねぇ。しめさば美味しいよね。あの味好き。寿司とか最近食べてないなぁ。回らないお寿司とか行く暇ないし……。
でもこの名前どこかで聞いたことあるような……。あ、あそこのギルド?
「もしかしてトップギルドの一角のうおざんまいの……」
一瞬すしざ〇まいが浮かんだのは許してほしい。
「そうです! 寿司ネタだけしかいないギルドですよ!」
「ああ、あそこは高PSばかり集まるという化け物ギルドか……」
うわさは聞いている。
あそこの化け物度はやばいとか。うちもうちなんだけど王が私含めて六人いるしね……。
「って、ミキさんだったんですね! どうりで……。ではいつかお礼をさせていただきますので!」
と、元気良く去っていった。
……うおざんまい、ねぇ……。いかんいかん。あのポーズが頭に浮かんでくる……。すしざん〇い……。いや、たしかに美味しいけどさ。寿司。