前略、もう一人の自分へ ②
顔を隠すローブを身にまとう。
始まりの街に戻りミキに注意っていうことを伝えまくっていた。というか、何人かすでにやられている。さすが私と言いたいけど待ってくれ。私は不意打ちされただけなんだ。気が付かなかったんだ。
「ミキ! 本物のミキはいるか!」
「い、いますよぅ」
「いるかー! ミキー!」
トロフィさんとガガトツさんが訪ねてきた。
私はおずおずと顔を出す。会わせる顔がないです……。本当に申し訳ない。私とエンカウントしたら終わりですね。はい。わかります。
「一応確認するが、本物だよな?」
「はい。本物です」
「そうか……。それにしても、大惨事だな」
「うっ」
私のせいですごめんなさい。
「ドッペルゲンガーねぇ……。こりゃ厄介だな。プレイスタイルも真似るとはチート過ぎるだろ」
「弱い人が出会えば簡単だが強えやつが出会っちまえばボス級の実力だからなぁ! はっはっは! 楽しくなってくるぜ。ミキはラスボス級じゃねえかなぁ?」
称号にもラスボスって言われているしラスボス級だと思う。
私の方でもなにか対策を取りたいけど……。まずどこに出没するかは不明。あちこち言っているらしくとてもじゃないけど狙って出会うのはまず無理そうだ。
「なるべく早く解決しないとまずいよなぁ……」
私と私の対決ってどうなるかわかんない。
ただ、偽物が本物より強いわけがないんだ。私よりは弱いと思う。所詮コンピューターだ。技術が進化しているとはいえまだまだ人間は負けるわけにはいかない。
……いや、今の時代はほぼコンピューター時代だし人間のほうが負けてるような気もしなくはないけれど……。
「ミキ。ミキが苦手な戦闘ってあるか?」
「うーん。大人数は比較的苦手だし見えないものは避けれないかなぁ」
「目つぶしか……。ミキは目つぶしの対策はしているのか?」
「霊体化とか霧状化とか物理攻撃や攻撃無効スキルがある」
「……それを聞いてさらに難しくなったんだが」
「そうだね。最低でも30分は耐久必須になる」
「どうあがいても絶望じゃないか」
そうなんだよ。
私相手に30分耐久しなくちゃいけないっていうのが辛い。どっちだか忘れたけれど効果時間が30分だしな……。
ただ物理はからっきしだし振るのは魔法防御。
「魔法防御に全振りするバカがいたら望ましいかも」
「スキルポイントをか?」
「全振り……しかも魔法防御をか? いないだろそんなもの好き」
「だよね……」
私は魔法特化だし……。
「あ、そういえば私の力が封印されたことあったな」
「まじで? どういう時だ」
「グィネヴィアを助けに行った際に大蜘蛛が放ってくるレーザーに当たって……。流石に光は避けれないからさ」
「……その敵は?」
「倒した」
「……封印するとなるとボス系だな。ボスとうまくエンカウントさせて弱らせるしかないのか? 封印してくるボス今のところいるのか?」
「俺はそんなやつみてねえな!」
「俺もだが……」
私は一回見ているけどあれイベントのボスって感じだしな。
希望の大蜘蛛ならアルテナ様のところにいるけれど希望のほうは封印系使えるかわからないし……。
「……ミキ討伐無理そうなんだが。勝てそうなやついるのか?」
「……いるっちゃ、いる」
「誰だ?」
「……マグダッド。私と同じプレイスタイル」
「……どこにいる?」
「PKのカルマ値を洗い流すために教会で懺悔中」
「まじかよ」
……どうしましょう。
今の状態をたとえると草むら歩いているとディアルガLv100に会ったとか、最初の村で野生のゾーマが現れた!とかそんなかんじ。