前略、もう一人の自分へ ①
妖精の国の敵はウサギもいたけれど主に妖精が多かった。
木の妖精など妖精が攻撃してきている。設定としては人間に恨みを持った妖精が暴れているということらしく倒しても構わないって言っている。
妖精の仲間意識って結構薄いんだな……って改めて思いました。
「それにしてもレベルも高いな」
八層エリアともなると50レベルは軽く超えてくるか。
「よっと」
魔法を放ち倒していく。
うん、経験値もそこそこいいな。数も数だしここは経験値稼ぎにはなるかもしれない。ただ妖精の素早さが高くて当てにくいけど……。
すると、背中に何かが当たったような気がした。
後ろを振り返る。攻撃でもうけたのかもしれないけれど、体力は減っていない。受けてないとしたら誰かに触れられた?
後ろには、私がいた。
「……へ?」
「模倣完了。能力完全コピーしました」
……はい?
いや、もしかして、あれ敵なの? 敵アイコンだし……。と、となるとまずい。私のコピー? 能力を完全コピー? あ、それだけはまずいって!
飛行スキルを使って逃げる私を私も飛行スキルを使って追っていく。
が、その瞬間、突然消えたのだった。
……まずいことになった。
いうならばあの敵は敵をコピーして敵の能力を得るというチートモンスターらしい。調べてみると情報が載っていてその人のプレイスタイルや能力を完全に真似るというチートモンスター。滅多に出会わないが強い人に出会うほどその強力さは増す……。
ただ能力を真似るが自分が生き返る能力は真似れないらしい。
名前はドッペルゲンガー……。もう一人の自分っていうことだ。
……本格的にまずい。能力だけならまだ対処の仕様があった。が、プレイスタイルも完コピ? ふざけているのか? ラスボスが野生に解き放たれたようなものじゃんかよ!
まずいまずいまずい! 私を倒さなくちゃいけない!
とりあえず、フレンドに私の偽物が出たと通知しておく。
私をコピーされたらまずいんだよ。対処できる人いなさそうだ。
やらかした。これ最大のやらかし。というか、一番問題なのが私が生命の主神ということだ。相手は回復を使える。仲間がいた場合は蘇生も使えるし……。なんてこったよ! ラスボスは回復禁止だっつの!
「ミキ!」
「チリン?」
チリンが駆け付けてくる。
「本物?」
「本物だよ」
というと剣を収めた。
「……ドッペルゲンガーって、マジで言ってる?」
「大マジ。やらかした」
「……はぁ。こりゃまずいことになるね。私たちですら勝てるの危ういのに初心者なんかもっと勝てないよ。とりあえず警報出しておこう。ミキも当分自分を隠していかないとね」
「うん……」
やらかしちまったなぁ……。
もう一人の自分
ミキちゃんが敵となって野生に解き放たれた! タイマンは危険だぞ!
厄介なのが普通の敵だということですね。パーティ制限もあるので大人数というわけにもいきませんから……。レイドボスだったらまだ簡単だった。