魔女狩り
あの魔女が偽物だというのなら、本物は一体どこにいるんだ。
赤ずきんたちは捜索に向かう。私はまずドロシーたちと合流しようと街に向かうのだけれど。ハーメルン……だと思わしき人の隣に謎の美女がいる。
……誰だアレ。
ハーメルンもなんか黒くなってるし……。
「は、ハーメルン?」
「あ、はい。僕です」
やっぱりハーメルンか。
「で、隣の人は……?」
「我か? 我こそはオズ。かの偉大な賢者である」
……あの本の作者か。
いや、でもオズ。仲間にしたつもりがないんだが。というか、ドロシーどこいったんだ。ハーメルンと一緒に戦っているはずだ。
やられてしまったか……?
「ハーメルン。ドロシーは?」
「……この人」
と、オズを指す。
……はい?
「ドロシーは二重人格で片方がオズということだったのかのう。かっかっか。かの有名な魔法使いが仲間じゃとな?」
「ええええええ!?」
ドロシー弱いと思っててごめんね!
強そうだよ! 賢者っていくらいだから強いんだろうね! というか、二重人格だったの? ドロシーは弱いけれどオズが強いって……。
「オズ。魔女の居場所はわかるかの?」
「もちろんだとも。魔女如きが我にたてつこうなんざ十年早い。魔女の魔力の残り香を辿っていけば見つかるであろう。こっちだ」
と、オズは空を飛んでいった――
オズの後をついていくと黒い外套を身にまとった人が木の上にいた。
街の様子を眺めているんだろう。だがしかし、こいつが魔女だとするとやらなくてはならないのか。
「おい」
「ん? なんじゃ」
外套被った魔女は振り向かずただ返事をする。
「こっちを見ろ」
アリスは強制的に顔をこちらに向かせた。
フードが外れる。顔は中年のおばさんって感じだった。
「あ、アリス! そ、それにオズも……!」
「この可愛らしいアリス様をだますとはいい度胸しておるのぅ……。妾はちょっとむかっ腹が立っておるのじゃ。偽物なぞ寄越しおって……!」
「え、いや、あの……」
「歯ァ、食いしばれ……!」
アリスは思いっきりグーを顔面にぶち込んでいた。
魔女は吹っ飛んでいき、地面に墜落。そしてオズが何か魔法を唱えていた。
「我はなんの恨みもないがドロシーに代わってオシオキしてやるとしようか」
「ひいいいいいい!?」
空から、巨大な隕石が降ってくる。
魔女は逃げることもできなかった。殴られた痛みに悶え、空から降ってくる隕石を眺めている。その顔は恐怖に歪んでおり、そして、泡を吹いて倒れてしまった。
その瞬間、隕石はなくなっている。
「幻覚の魔法だ。これくらいは軽くできんと賢者とは名乗れんさ」
……アリスとオズ怖え!