アリスの世界
ファンタジアイベントが開催される。
すると、ハーメルンが駆け付けてきたのだった。
「ミキ! 大変だ! 始まりの街が……!」
ということで外に出てみると、あら不思議。
お菓子の軍隊やトルコ人形が街を行進し、破壊している。いかにもファンタジア……ってそうじゃない! なんだこの状況!?
「魔女だな。森のお菓子の魔女が侵攻してきたのだろう」
アリスがそう述べる。
魔女なんて初耳だよ! まぁたしかにグリム童話とかによく魔女は出てくるか。お菓子の魔女って多分元ネタはヘンゼルとグレーテルのものだろうけどさ。
魔女、ねぇ。討伐しろっていうんじゃないだろうか。
「アリス。魔女を倒そうか」
「任せい。妾がけちょんけちょんにしてやろう」
「ドロシー、ハーメルンは街の防衛!」
「わかった」
「うう、怖いなぁ……」
仕方ない。ここで戦うしかないんだ。
私はアリスと共に行くことにした。それにしても私が三体仲間にしているとはいえ他の二体も仲間にされたんだろうけどどういう主人公なんだろうか。
っていうか魔女はどこにいるんだよ。
「アリス。魔女の居場所わかる?」
「わかっておる。尋常じゃないほどの魔力が垂れ流しになっている場所を探せばいいのじゃ! ついてこい!」
といってアリスについていくと、そこに魔女はいた。
赤い頭巾をかぶった女の子といばらの鞭を操って戦う人。いばら姫か。
「ほほう。いばらに赤ずきんか」
「くう! 新たなファンタジアか! 小癪なぁあああああ!」
と、押されている魔女。
赤ずきんちゃんは狼を戦わせている。
「ここは逃げると……」
「妾がそんなことさせると思うのかえ? 妾にも特殊な能力があってのぅ。みるがよい!」
と、ぱちんと指を鳴らすと、背景が変わっていく。
そこは私たちの姿が映っている硝子があった。いや、鏡だ。鏡がそこらへんに浮いており魔女を写している。もしかして。
「妾は鏡の世界を創れるのじゃ。不思議なもんじゃのぅ。そして不思議の国を治めている王でもある。妾に刃向かう気か?」
鏡はすでに魔女を捕らえていた。
「断罪の時は来た。ひれ伏せ」
鏡は、光を反射する。
その光が魔女に集まり、燃えていく。
「ぐあああああ! 私が、敗れるなどありはせぬのだ! こんな世界は……!」
「なんじゃ。鏡じゃ不満足か? 自分自身の醜い姿を映し出す鏡が最適じゃと思ったのだが……。ならワンダーランドで過ごすがいいさ」
「……待ってくれ」
私はそう引き留めた。
どうにもおかしい。魔女がこんなあからさまな場所にいるのだろうか。いや、いない。というか、この魔女。燃えている割に喋れているのが不思議だ。
死なない魔女。もしかして。
「アリス。偽物……じゃないのかなこの魔女」
「偽物?」
「死なないし」
魔女と言っても人間だしあんなに焼けていたら死ぬはずなんだよね。
だとしてもしなないっていうことはあの魔女の体はただの傀儡で……。本体はまた別にいるんじゃないだろうか。そうなると魔女はすごい腕前の魔女だっていうことになるけれど。
「ふむ、その通りかもしれぬな。解除しよう」
鏡がなくなった。
すると、魔女は溶けてなくなったのだった。赤ずきんちゃんたちは近寄る。液体をペロって舐めていた。ばっちいだろそれ。
「甘い」
「……砂糖。やはり偽物だったか」
どうやら、一筋縄ではいかなさそうです。