ドロシーと本の世界 ③
案山子、ブリキ、ライオン。
オズの魔法使いに登場する者たち。ドロシーが出た時点で出るとは思っていたけれどいるんだ。
「ガルルッ」
ただ、仲良くする気配はなさそうだ。
臆病というわけでもない。寧ろ好戦的なライオン。ブリキには心がないとかいうけれど……言っちゃなんだが物に心があったら怖いと思う。
案山子は……なんだっけ。
「ハイジョシマス」
とブリキがレーザービームを撃ってくる。
光の速さって避けれないからやめてほしいんですけど? たいていの攻撃は避けれるとしても光の速さ越えるほど人間離れしてませんけど?
というか、そう考えると私のスペックってやっぱ相当おかしいのな。
「ガガッ、シンニュウシャ」
案山子も攻撃してくる。
どうやら戦闘になるようだ。私が戦おうとすると、ソゥたちが前にでる。
「私がやるよ。ミキちゃんは見てて」
「腕が鳴るのぅ。ドロシー、おぬしは戦えるのか?」
「それなりには……。おじいちゃんから護身術を習いました!」
アリスは武闘家という立ち位置なのだろう。拳を構えている。かっけえ。姐さんって感じがする。
一方のドロシーは短剣を持っている。短剣術かな。まさか暗殺術じゃあるまい。おじいちゃんに倣ったといってたし暗殺術だとおじいちゃん何者だよってなってしまう。
「えっと、魔法を使えばいいんだよね。精霊魔法って想像して使うのかな」
「そうですよ。やってみたらわかります」
「そうだね。なんとかなるね」
と、三人は向き合った。
「ふん。妾はブリキ如きには負けぬわ」
「勝ちましたぁ!」
アリス、ドロシーの二人は勝利を収めた。
そして、ソゥ様は。とっくに終わっていた。ライオンを高火力精霊魔法で焼き払った。最初の頃の私みたいだ。圧倒的な実力差。これが王だ。
「どうにもやりごたえのない敵じゃったのぅ。力が余っておるわ」
「そうですか? 私ものすごく疲れました……」
「運動不足じゃよ。さて、この三人倒したのも何かしらの意味があるのだろうな……」
ある。
いや、なにかが動いている。光が差し込む。すると、目の前に開かれたのは図書室の景色。どうやら、出られそうだ。
うーん。これが、本当の出口……なのか?
いや、これはノーマル出口というところかな。こんな簡単に終わらせる運営じゃない。
「出口だね」
「ですね」
「出るかい?」
「……でましょう」
ここはまだ調べたりない。
が、今は時空の塔優先として。またこの本を調べに来るとしようか。そして、真の脱出方法を見つけてやる。
私たちは、その穴から外に出るのだった。
「出れたね」
「出れましたぁ……。長かったですぅ」
と、ドロシーはへたへたと地面に座り込んだ。
「面白みのない本じゃったの。あれで終わりとは……まだなにかあるのあの本の世界には」
「はい。ですが今は優先したいことがあるので出ました」
「ふっ。まあ後で来ればいいさ」
アリスは微笑んだ。
「さて、ドロシー。早速だけど仲間になってくれる?」
「仲間、ですか?」
「うん。時空の旅人の称号、持ってるでしょ?」
「え? あ、はい。もってますけど……」
よし。読み通り。
「手を貸してほしい。ダメかな」
私は手を差し出すと、ドロシーはおずおずと握り返してくる。
「ダメじゃないです! 助け出してもらったのですしお礼はしますとも!」
すると、アナウンスが突然響いた。
《ファンタジアの5人がプレイヤーの仲間になりました》
《強制的にイベントが開始されます》
……はい?
仲間にしたファンタジア
ドロシー
アリス
ハーメルン。
つまり他二体は誰かが仲間にしたのですね。まぁ、三体がミキというのがおかしいですけど。