本の中の世界
キツネ化が解けてソゥ様と合流することにした。
ソゥ様は始まりの街の図書館にいるということ。図書館で何を調べているのかはわからないけれど意味があるんだと思う。
それで図書館に来た。
「ソゥ様!」
「ああ、ミキちゃん。ドロシーはまだ見つからないんだ。手掛かりがあるかなとおもって図書館にきたんだけどさっぱりだよ」
というのだった。
まぁ、どこにいるかわからないし、そもそもいるかどうかも怪しい。運営の話だと二体いるということ。つまりアリスと、一人見つけなくてはならないということだ。
「で、そっちはミキちゃんが見つけてきたファンタジアの人?」
「うむ。アリスじゃ」
「不思議の国の……。なるほど。チェシャ猫でヒントを得たわけか」
さすがソゥ様。
「図書館には久しぶりに来たわい。どれ、一つ本でも読もうかの」
と、アリスが本を手に取る。
すると、本は勝手に開いた。そして、アリスが吸い込まれていく。
「「……は?」」
いきなりでた言葉はそれ。
ソゥ様は本を拾う。四方八方から調べて、なにもないということを確認したのか中を開くと、ソゥ様も吸い込まれるように入っていった。
……開くと吸い込まれる仕組みなんだろうか。
わ、私も行かなくちゃ!
私は本を開いた。
目が覚めるとのどかな畑にいた。
下にはオレンジのものが見えている。ニンジン、だな。
「って、ソゥ様とアリスは!?」
「ここじゃ」
「ここだよ」
と、横に目を向けると二人は立っている。
とりあえず立ち上がり、状況を整理することにした。偶然だけれど、なんだか知らない世界に連れてこられた感じがする。
本の中の世界……ということなんだろうか。アリスが偶然手にしたあの本がまさか開くとここに来るなんて……。
「ここはどこじゃ。不思議の国や鏡の国というわけでもあるまい」
「あ、あれ!」
ソゥ様が指を刺した方向にいたのは女の子だった。
オーバーオールを着てツインテールに髪をまとめた女の子。アリスは黒髪だったけれどこの女の子は金髪ツインテール。可愛いじゃないか。
「おや? 来訪者さんですか?」
と、優しい笑みで語りかけてくる。
「は、はい」
「貴方方も本を開いたのですね」
……ということは、この子も?
「あ、申し遅れました。私はドロシーです。この国はオズさんという魔法使いが書いた本の世界……です。脱出方法がわからないのでここで農園をやってます」
……いたよ。
なんでこんなピンポイントで引き当てる運があるんだろう。噂をすれば影というやつか。運がいい私も…。ほんと。会えるとは思っていなかった。




