国盗り合戦 ④
大罪たちの戦いも終わりを告げようとしていた。
やはりルシファーは強い。ベルフェゴールを倒し、アスモデウスも戦闘不能に陥らせた。ルシファーは剣をしまい、ベルフェゴールを一蹴する。
マモンもどうやら勝ったらしくこちら側の勝利だ。
「大罪を戦力としてたのならものすごく戦力を削れたね」
ベルフェゴールを討伐したことにより相手国は不利になったと思う。
こちらにはルシファーがいる。ベルゼブブもハーメルンと共に戦っている。この勝負の勝敗はすでに決定したといっても過言ではなさそうだ……。
「ま、私は回復に回りますか」
戦っている兵士に回復魔法をかける。
死んだ兵士には蘇生魔法を行使。私がいる限り戦力は途切れないんじゃないだろうか。いや、通常NPCの蘇生は一回しか無理だと書いてあったし次死んだら蘇生ができないな。
「”ネズミの円舞曲”」
ハーメルンが笛を吹きネズミは円を描いて回る。
兵士たちがネズミの踊りに巻き込まれていく。ネズミつえー。ハーメルンはネズミを使役しているのだろうか。ネズミを笛の音で誘導しているだけはあるな。
もしかしてハーメルンも相当戦える?
「いい音色だな。気に入った」
「あ、ありがとうございます」
ベルゼブブも戦っている。
兵士がものすごい勢いでやられていくのだった。ただノーダメージというわけじゃなく少しはダメージを負っているようだ。
回復をしてあげる。
「ネズミたち! どんどん蹴散らすよ」
「ふははは! 絶好調! 誰も我を止められはせぬぞ!」
どうも絶好調なようです。
まぁ、ベルゼブブたちの心配はいいだろう。もはやここはルシファーたちに任せてもいいくらいだし、第一層エリアの視察とかでも行こうか。
と、その時だった。
一人の女が、私の横を駆け抜けていく。その緑の髪は見覚えがあった。いや、ないわけがない。ゲームで毎日見ている。
クー・フーリンが駆けている。
「ちょ、ま」
「恨みを晴らさずにおくべきか! そちらから攻めてくるとは都合がいい! 私の愛槍ゲイボルグで王の胸を貫いてやる!」
どうやら、彼女も復讐に燃えている。
相手の国はクー・フーリンの祖国……ということになるんだろうか。その上層部の偉い人にこき使われこの国の奴隷商に売られて奴隷として過ごしている毎日。
まぁ、こき使われた恨みは晴らすべきだわな。
「クー・フーリン。援護するよ」
「頼んだ!」
私はクー・フーリンについていった。
そういえばクー・フーリンの相棒のチリンはどこにいるんだろうか。さっぱりわからない。
クー・フーリンはゲイボルグで敵をなぎ倒しながら進んでいく。
そして、一気に敵軍大将のところまで辿り着いていた。
「……クー・フーリン」
「……ガルガ将軍」
ガルガ将軍というらしい。
何も言わずにガルガ将軍は剣を構える。クー・フーリンは剣を弾き飛ばし、ガルガ将軍の胸を貫いた。
「お前も敵だ。私は、王を許さない」
クー・フーリンは、復讐だけしか見えていないようだった。
そして、戦争は間もなく終了を迎えることとなった――