国盗り合戦 ③
大罪の戦闘はそれは見物だった。
兵士たちも離れていく。近寄らず戦争を続けている。ハーメルンにそちらに行かせ私はこの戦いを見る……というより場合を見て参戦することにした。
ルシファーとベルフェゴール、アスモデウス。サタンとベルゼブブ。マモンとレヴィアタン。
「二人がかりでそんなものとは。情けない」
「くううう!」
まぁ、回復魔法とかいらなさそうだ。
ベルゼブブも手堅く戦っている。マモンもマモンでうまく立ち回っているようだった。さすが大罪は強い。
ファンタジアシリーズもなにかやばい臭がしているけれど大罪シリーズが一番やばいんじゃないだろうか。
「俺はすべて欲しいんだ! お前の力をよこしやがれ!」
「うるさいわ強欲野郎!」
マモンとレヴィアタンではマモンのほうが強いらしくレヴィアタンはもはや瀕死みたいなものだった。体力もそんなにない。最弱はレヴィアタンだもんな。プレイヤーよりは強いけれどさ。
「ふん。雑魚が。我に敵うなどとつけあがるな」
もはやベルゼブブは戦闘を終了したらしい。
そこにはサタンが伸びていた。ベルゼブブの強さは相当なものがある。私は褒美にご飯をイベントリから取り出して与え……られないのでとりあえず携帯食料で我慢してもらう。
「まずいな」
「携帯食料だからね」
「むぅ。帰ったら何か食わせるのだ。さすがに腹が減ったぞ」
「わかったよ。リクエストある?」
「こってりとしたものを所望する」
こってりとしたもの。
脂ものか。とんかつは前やったから今度はから揚げとか? いや、こってりとした豚丼でも作ろうか。美味しいし豚の脂こってりしてるし。
ラーメンでもいいけど前作った。
「まぁ、主が作るものは美味しいからな。何を作っても食ってやるさ」
「やだイケメン」
顔もイケメンだし性格もいいとか悪魔じゃなくて天使だろ。
何? 私でも攻略するつもりなの?
「……ベルゼブブさ、実際大罪の中でどれくらい強いの?」
「……ひいき目なしに考えると我は三番目くらいだな。一番はルシファー、二番目がベルフェゴールだ」
へぇ。そんな強いのかベルフェゴール。
たしかに普段だらけている人ほど強そうなイメージはあるといえばあるけれどそのタイプなんだろうか。
ベルゼブブも三番目というあたり結構強いんだろうけどさ。
「我らにとっての戦い方次第で強さは変わる。あまりあてにはならぬ」
「へぇ」
「我は強いということは事実だ。あてにしてもかまわぬぞ」
「うん。あてにさせてもらうよ」
「ああ。悪魔は契約は破らぬ。飯という代償をいただく故あてにしてもらうのは構わぬさ。我もあちらの戦いに参戦するぞ! 主がそう命じている気がするのでなぁ!」
うん。命じるよ。
ハーメルンを助けてあげて。