勇気ならざる蛮勇の勇者 ④
あっぶねえ間違えて違う作品の方で予約してたぜ
十分経ったぐらいだろうか。
ルシファーがハーメルンを運んできたのだった。ハーメルンはドラゴンを見てちょっと固まっていたりする。
「ハーメルン! 眠らせるような音楽吹ける?!」
「ふ、吹けますが」
「なら吹いて!」
「わ、わかりました!」
とハーメルンは角笛を口にくわえ、音楽を奏でた。
その瞬間、ドラゴンは、体勢を崩す。地面に倒れこむように這いつくばり、そのまま目を閉じたのだった。そして数分経つと寝息すらも聞こえてくる。
眠ったようだ。
「なんだよ! 最初からハーメルンいたら楽だったんじゃん!」
ハーメルンはこういう状態異常をかけるのがやばいのか?
となるとファンタジアって相当やばい! ハーメルンはボス戦を少し楽にしてくれそうだ。た、助かった。
「これで安全に攻略できる。ルシファー。あの黒い鱗を攻撃して」
「かしこまりました」
ゆっくりと近づき、剣で一突き。鱗は砕け散り散乱しエフェクトとなり消える。そして、同時にドラゴンも目を覚ますのだった。
きょろきょろと見回すドラゴン。下にいる私たちに気づいたのか「グルゥ?」とわかんないような声を出している。敵意はなさそうだ。
となると、あの鱗が原因だったんだな。
「グルゥ♪」
「こ、こら」
ドラゴンは顔をこすりつけてくる。
で、でかい……。きつい。
「あの黒い鱗……。悪魔の力を感じました」
「悪魔?」
「おおよそ悪魔があのドラゴンを操作していたのだと思われます。ベルゼブブに聞けば調査してくれるでしょうが……」
「ならベルゼブブに調査させるか。断罪もベルゼブブに任せるとしよう」
「かしこまりました」
私はその場に座り込む。
いや、ハーメルンが大事なカギを握ることに気づいてよかった。気づかないままだと苦戦して死んでいたかもしれない。
こういうあるキャラクターがいたら楽ですよっていう感じのクエストもあるってことだよな。
「グルゥ」
と、玉竜はぺこりと頭を下げて飛び立っていった。
私はまだ座り込んでいる。もう運営の悪意に疲れたんだよ。こういうキャラがいた楽になるっていうことは今までのクエストもそうだったんでしょ?
あるキャラクターがいると楽になるクエスト、あったんでしょ?
ほんっと性格悪いよ……。
「な、なんだかわからないが勝ったのか」
「なんとかね……。ありがとうハーメルン。仲間になってくれて」
「え? あ、いや、うん。こちらこそ」
ハーメルンがいなかったら負けてたわ。
マジ神。崇めるわハーメルン。
で、クエストクリアのアナウンスはまだですか。
……まだなんですか。