勇気ならざる蛮勇の勇者 ③
目の前のドラゴンは咆える。
ルシファーを狙い尻尾で攻撃するが大ぶりの攻撃は当たらなかった。だが、ドラゴンも頭がいいのかそのあとすぐに爪で攻撃してくる。
ルシファーの翼に直撃しルシファーが墜落してくる。その隙を逃すドラゴンじゃなかった。
私は急いで回復し飛行スキルを使用し、ルシファーにぶち当たる。軌道がそれ、私は精霊魔法を使って爪の軌道を少しそらした。
そして、ルシファ-が目を覚ます。
「頑張ろう」
無理して働かせている気もする。申し訳ない。これが終わったらきちんと報酬は払うよ。
「神よ申し訳ない! 油断しました」
「弁明はいいよ! 目の前の敵に集中!」
私も精霊魔法を連続してはなっているけれどそれでもたいして削れていない。体力が多いんだろうか。
「……ん?」
私はあることに気が付いた。
この竜、なんだか様子がおかしい、と。いや、ちょっとした違和感だったけど……。ドラゴンっていうのはニルと同じ姿。ニルが竜化するとこうなるんだけどニルとちょっと違う点があった。
あの黒い点……。逆鱗というわけじゃなさそうだけど……。でも、一か所だけ色が違うっていうのは変だよな?
「ルシファー! あの黒い鱗を攻撃してもらえる? 攻撃は私がひきつけるから!」
「かしこまりました」
といってルシファーは全速力で向かっていく。
私はちょこちょこと攻撃していた。威力があるけどそれほど減ってはいない。大丈夫、だと思うんだ。
だが、急に攻撃をしていた私じゃなくルシファーのほうに向いた。
と、ドラゴンは私の攻撃に向いていたにもかかわらず黒い鱗に近づいたルシファーに向かって攻撃を始めるのだった。
……やっぱりあの黒い鱗に何かある!
「……無理にでも突っ切らせるか?」
いや、無理だ。はじかれる。
「ルシファー! 攻撃をかわしながら黒い鱗に近づける?」
「ふ、不可能です! 攻撃が激しくなります!」
なるほど。
魔法で当てる……というわけにもいかなさそうだ。気絶させてから行く……。いや、気絶させられるのだろうか。鑑定してヒントをもらえたりしないだろうか。
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・玉竜
王族の竜。耳が敏感であり魔法は効きづらい竜種
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魔法は効きづらい……。なら状態異常をかけるのは無理だ。あれも魔法に分類されるみたいだしね。
だとするとどうや……ん?
「……もし、かし、て」
ある考えが頭に浮かんだ。
耳が敏感? なら音には弱いんじゃないだろうか。となると、濃厚なのは……。
「ハーメルン! なんだよくそ! ハーメルンいかせちゃったじゃん! 運営ホント性格悪いな!」
このクエスト、ハーメルンいたらマジ楽なんじゃないの!?
「ルシファー! 今すぐハーメルンを呼び戻してきて! その間私耐えておく!」
「かしこまりました!」
最初から鑑定しておけばよかったじゃないかよ!
ハーメルンが出た理由はこういうボス戦を一部楽にしてくれるっていうのがでかいんですね。
なのでミキが言った通り相当やばい部類ですファンタジア。