飛んで川に飛び込む光のミキ
一人で探索してるけど特に何も見つかっていない。
さっきの電磁石以外はめぼしい発見もなかった。はぁ。まあ、あれが発見できただけでも運がいいといえるだろうから……。
ん? なんかオイルで汚れた川? いや、だけどあそこだけオイルをはじいている?
川はオイルで汚れているのだが、一か所だけ普通の水があった。おかしいよな? これだけオイルで汚れてるのに一か所だけオイルで汚れてないなんて……。
絶対何かある。ユキショウグンが来るまでちょっと待っていよう。フレンドコールでエルルゥたちを呼び出して……。
数分後、ルルークとサン以外は全員揃った。
「たしかに不自然だね。これはイベントの予感がするぞ」
「ミキってこういう発見は多いよねえ」
「さっきの電磁石もミキさんが見つけたものですしね!」
そういえばさっきの電磁石どうなったんだろう?
「あの電磁石はこの町では取れないものらしいんだ。衛兵のみなさんが調べてくれるそうで結果がわかるのには数日かかるそうだ」
「なんでエルルゥが知ってるの?」
「ちょうどその場にいたからな」
「ポーションがなくなったから買いに行こうとしてたらちょうど見かけたんだよね」
なるへそ。
「さて、準備は出来ているか?」
「はい! 俺は万端です!」
「いえーい。イベントだあ!」
「あれがイベントにかかわっているとは思うけどまだ戦うって決まったわけじゃないし……」
と、その水が見えているところに物を投げ込む。ちゃぽんという音と共に沈んでいった。
ふーむ。見たところ普通の水みたいだけれども……。底になにかあるのかもしれない。泳げて潜れる人がいるのかな……。
「泳げる人いる?」
「私は泳げるが潜れないな」
「私は……」
「チリンは知ってるよ。金づちってこと」
「うぐっ……」
「俺は大丈夫ですよ? 潜れます」
じゃあ、候補は私とユキショウグンの二人か。回復役を死なせたらここまで戻ってこさせるのも面倒だろう。だったら私が行くしかないか。
「じゃ、私が行くよ。いざとなったら回復できる準備はしておいてね」
「わかりました!」
「さて、と」
あそこに潜るためにはちょっと準備が必要かな。
まず準備体操! これは現実でも一緒だね。ゲームだから足がつったりとかはないと思うけど念のためにね? ほら、何事も形からっていうじゃん。おいっちに、さんしっと。
あとは魔法でちょーっとだけコーティング。精霊魔法光でできるかな? ライトコーティング!
あ、できた。
うっすらと私の周りにまばゆい光がある。
《スキル:ライトコーティングを取得しました》
―――――――――――
ライトコーティング
対象に光をまとわせ魔法防御力を引き上げる。複数使用可能。
―――――――――――
あ、物理は上がらないんだ……。
まあいいでしょう。物理攻撃来た瞬間終わるけど……多分大丈夫!
「ミキ、いっきまーーーーす!」
私は、川へと飛び込んだ。
そのころ。某所では。
「キークエストについて会議を行う?」
勇者の耳にはそう飛び込んできたのだった。
それもそうだろう。会議はトッププレイヤー数名と王たちで行われることになった。勇者は二つ返事でオーケーと出したのだが……。
「精霊王の居場所がな……」
あるプレイヤーは頭をかいていた。
精霊王とは何のつながりもないために、居場所がわからない。目撃証言では第二層エリアに向かったとの話だがそれ以降の目撃証言はないのだ。
「なら俺聞いてみますか? フレンドですし」
勇者の提案は実に魅力的だった。
さっそくコールをかけてみる。だが、繋がらず。フレンドメッセージだけ送っておいた。
「かけてもつながらないんでメッセージだけ送っておきましたよ。動向がわかったら報告するんでフレなりましょう」
「わかった」