ハーメルンの笛吹き男 ①
明日の更新はありません。たぶん……。書けない……
第三層エリアで笛が鳴る音が聞こえる日があるという。
そして、その日に限って異様にネズミが目撃されるそうだった。正直行きたくない。けど、この現象、私には心当たりがあるから……。
……なので、チリンとエルルゥとルルーク誘ってます。
「相変わらずビビりだなぁ。幽霊なんていないよ」
「いる……」
「いや、ゲーム内には、いるかもしれないけどさ……」
チリンに引っ張られながら森の奥地へ進んでいく。暗くなっていってネズミの死体がそこら辺に落ちていた。そして、ネズミゾンビというモンスターとも出会う。
とても怖い外見をしていた。
すると笛の音が聞こえる。
場所は近かった。
茂みをかき分け進むと開けた場所に出る。そこで男の人が角笛を吹いていたのだった。
「おや、観客かな?」
そう男の人は言った。笛を片手に私たちに近づいてくる男。害意はなさそうだけど少し不気味だったりもする。
「失礼。僕の自己紹介をしないとね。僕はハーメルン。ネズミ駆除をしているんだ」
「……ミキです。よろしく」
やっぱり、そうだった。
ハーメルンの笛吹き男。
ハーメルンという都市でネズミを駆除するために呼ばれたハーメルン。約束通り駆除をしたものの報酬が少なく怒って子供たちを攫っていったという童話。
この童話は奥が深い。まず子供向けじゃないからね。内容が内容だし。
で、その笛吹き男が目の前にいる。
「なるほど! 最近プレイヤーが不気味がっていた笛の音はこの男の人の!」
「ハーメルンの笛吹き男だな」
「それ!」
童話の存在の人がなんでここに?
「はは、僕の演奏どうでした? 拙かったでしょ。最近誰もいないここに笛を吹きに来てるんだ。ネズミとかが寄ってくるからそのネズミを狩って素材をギルドに下ろしてるけど」
「へぇ」
「……でも観客がネズミだけじゃ物足りなくて。ぜひとも僕の演奏をきいて感想をもらいたい」
「いいよそれくらい」
「ありがとう。じゃあ早速聞いてほしい」
と、ハーメルンは笛を口にくわえる。
そして、笛の音が鳴り響いた。心地よい高温が空間を支配する。なごむ音楽を聴き、目をつむった。
「いい演奏だね」
「ここで練習しなくてもいいのに」
エルルゥたちがそうこぼす。まさしくそうだと思う。こんなとこで練習しなくてもまだ練習できる場所はいろいろとあると思うのに。なぜここなんだろうか。
その理由はハーメルンのみぞ知るか。
そして、演奏が終わる。
「どうです?」
「上手いよ。聴き入るほど」
「それは! 光栄です! 僕の音楽が気に入ってもらえたということでちょっとお願いがあるのですが……」
《クエスト:ハーメルンの笛吹き男 を開始します》
あ、強制なのね。